かつては一人っ子政策で人口増加を抑制していた中国だが、最近は方向を転換して出産を奨励するようになった。今では3人までの出産が認められるようになったが、出生率は思うように高まっていない。中国メディアの観察者網はこのほど、「中国の出生率はついに日本より低くなってしまった」と題し、中国人が出産したがらなくなった理由を考察する記事を掲載した。

 1人の女性が生涯で産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」について、記事は2020年における中国の合計特殊出生率が1.3という衝撃的な数字になったと紹介した。日本の2020年の合計特殊出生率1.34を下回っており、中国の少子化は日本以上に深刻だと言えるが、記事は「出生率が低下し、子どもの数が減るということは、長期的に見れば労働力の減少と生産コストの上昇を招き、それが物価の高騰につながり、ひいては企業や国の競争力喪失につながる」と強調した。

 中国はかつては人口抑制をしていたほどなのに、なぜ一転して少子化の危機に直面するようになったのだろうか。記事はその要因の1つとして「社会構造の変化」を挙げた。社会の発展に伴い出生率が低下するのは世界中で見られる現象であり、発展と引き換えに出生率が低下するのは世界各国が必ず経験する過程だと指摘し、「中国もまさにこの現象が起きている」と指摘した。

 また、別の要因もあるとし、それは「経済的理由」だと強調。中国政府が3人目の出産を認めると発表した際、「子どもを3人も産めるのは富裕層だけ」だといった声が上がったことを紹介した。そして、中国人が子どもを産まなくなったのは「生活するだけで精一杯という人が多いからだ」と強調し、中国では「結婚したくないわけでも、子どもを生みたくないわけでもない。経済的理由で結婚したくてもできず、産みたくても産めない人は多いのだ」と論じた。

 人口が多い中国では子どもの頃から激しい「競争」が始まると言われる。「スタートラインの時点で負けさせるわけにはいかない」として、子どもたちを塾や習い事に通わせる親は多い。こうした親にとって子どもが1人でも経済的負担は非常に大きく、2人目の子どもなど考えられないというのはごく当たり前の感想なのだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)