新薬開発の成功率は2万分の1から3万分の1といわれるほど困難を極める。その点、小野薬品工業が開発したがん免疫治療薬は、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑氏の基礎研究を基に作られたもので、「産学連携」の成功例とされてきた。

 その後、本庶佑氏と小野薬品工業の間では、特許使用料の分配金を巡って訴訟となっていたが、中国メディアの百家号は14日、日本のノーベル賞受賞者が、製薬会社と和解したと伝える記事を掲載した。中国の基礎研究にも良い啓発を与えてくれているという。

 記事はまず、本庶佑氏らの基礎研究の成果を紹介している。たんぱく質「PDー1」を突き止めたことでがん治療薬の開発が進み、小野薬品は2006年にがん免疫治療薬「オプジーボ」の開発に成功した。本庶氏の研究がなければこの新薬の成功はなかったはずだ。

 和解に際して、製薬会社側が本庶氏に和解金50億円を支払うほか、京大に新設される基金に230億円を寄付することが決定した。優秀な若手研究者の育成・支援に使われることになるという。この裁判は、産学連携の在り方を見直す良いきっかけになったのではないだろうか。

 記事の中国人筆者は、本庶氏の基礎研究の成果に対する対価が支払われたことについて「研究開発で成果をあげるということは、これだけ大きな対価となる」とし、中国の基礎研究にも良い啓発となるとする一方、中国でも今後はこうした訴訟が増えるのではないかと懸念を示した。知的財産権という意識がもともと低い中国では、十分にあり得ることだ。

 日本の場合は、大学などの研究機関の資金不足が問題となってきた。そのため中国など海外に優秀な人材が流れてしまう悩みがあったが、今後産学連携が進み研究環境が整えば、改善されていくのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)