日本経営管理教育協会が見る中国 第692回 ――水野隆張

◆中國不動産大手中国恒大集団にリスク連鎖の警戒感

 バブルに沸いた中国の不動産業界に倒産の波が押し寄せ始めた。経営危機の中国恒大集団は6月末時点で負債約1兆9700億元(約33兆円)と巨額で、中国の国内総生産(GDP)約2%にも相当する規模である。その大半は取引先への買掛金や住宅購入者の前払い金だが、破綻すれば内外に影響が広がるのは避けられないだろう。中国の現状では「金融システムへの波及は当局が全力で阻止する」との見方が大勢となっているが、中国恒大集団が事業を継続できるかの先行きは厳しい見通しである。

◆「三つのレッドライン」と呼ばれる資金調達総量規制

 中国の不動産業界が苦境に陥る契機となったのは、昨年8月に当局が導入した「三つのレッドライン」と呼ばれる資金調達総量規制である。一定の基準を満たせない業者は新規借り入れなどが認められなくなり、巨額債務を抱えたままデフォルト(債務不履行)に陥る大手デベロッパーが相次いだのである。一方、少子高齢化などで住宅需要も頭打ちの状況である。2016年に1800万人だった出生数は20年に1200万人へ落ち込み、総人口は来年にも減少に転じるとの見方も予想されている。

◆今後の対応次第では中国経済が低迷期に陥ることも展望されている

 このような時期に今年8月習指導部は「共同富裕(共に豊かになる)」のため、格差是正を打ち出したのである。マンション価格の高騰の裏には富裕層の投機もありその格差是正の影響によって不動産価格も下落に転じた。価格上昇が鈍ったとの懸念から9月には日米などの株式相場が下落したのである。価格是正を掲げる習近平指導部にとって不動産価格の高騰を容認できなくなっており不動産業界の軟着陸は容易ではなく今後の対応次第では中国経済が低迷期に入る可能性も展望されているのである。(写真は、中国海南島のマンション群。提供:日本経営管理教育協会)