スマートフォンをはじめ、あらゆる電子機器に使用されているレアアース(希土類)は、現代社会において必要不可欠な物質だ。中国のレアアース生産量は世界一であり、日本や米国も中国から大量のレアアースを調達している。

 日本を始めとする各国はレアアースの安定供給を目指して、中国以外の調達先を探しているが、これは中国としては「願ったり叶ったり」と言えるようだ。中国メディアの捜狐はこのほど、世界に輸出しすぎて「中国のレアアース資源が減ってきている」と不満を示す記事を掲載した。

 記事はまず、中国は「レアアース強国」として知られ、レアアースの海外輸出はGDPを押し上げるのに貢献してきたが、その一方でレアアースの埋蔵量は激減したと紹介している。30年にわたる採掘と輸出で、今では世界の埋蔵量の2割から3割程度にまで減ってしまったという。「このままでは20年もしないで底をつく」との見方もあると危機感を募らせている。

 この問題は、無計画な採掘にあるはずだが、記事は日本に責任転嫁している。自国の海域にレアアースが眠っているにもかかわらず、日本が中国からレアアースを大量に輸入しているのは、「中国のレアアースを空っぽにしようとしているためだ」と主張した。日本は将来的にレアアースを採掘することも可能で、そうなると「中国はレアアース産業における独占的な立場を失い、中国は巨額の利益を失うことになる」と嘆いている。

 中国は米国を念頭に置き、レアアースの供給網を統制強化していく方向性を発表しているため、中国人の間では「レアアースを輸出しすぎた」との考え方が広まっているのだろう。日本はこれを受けて、国内精錬所を整備することにしたほか、同じくレアアースを確保したい米豪印の3カ国と連携するなど、対策を進めている。

 中国にとってレアアースは外交カードの切り札ともいえる存在だったが、今では脱中国を進めたい世界各国と、輸出を抑えたい中国とで思惑が一致するようになったのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)