半導体製造に欠かせない材料の1つに「フッ化水素」がある。2019年に日本が韓国に対して輸出管理を強化したことで、日本が半導体産業において大きな影響力を持つことが広く知られるようになったが、フッ化水素の「原料」を世界で最も多く生産しているのは中国だという。中国の動画サイト西瓜視頻はこのほど、この原料について紹介する動画を配信した。

 動画が指摘するフッ化水素の原料とはフッ化カルシウムを主成分とする「蛍石」のことだ。動画によると、中国の蛍石の生産量は世界の約60%を占めているという。しかし、埋蔵量は世界の13%に過ぎないそうだ。埋蔵量ではメキシコが21%と多いが、生産量は世界の15%に過ぎないと指摘している。

 なぜ中国は埋蔵量がそれほど多くはないのに生産量は世界一なのだろうか。動画では、中国では多くの中小企業がむやみに蛍石を採掘し、どんどん売ったため安い価格で外国に買われることになったと説明した。また、かつての中国には半導体産業そのものがなかったので、中国国内では製鋼などに使用するだけで値段が非常に安かったという。

 動画によると、最近では中国も蛍石の重要性を認識し、政府が戦略的鉱物の1つに指定して採掘や生産に関して制限を設けるようになったため、価格が上昇しているそうだ。また、5Gや自動運転技術など、この先発展が見込まれる技術に半導体は欠かせないため、蛍石の需要もますます高まると分析しているが、「中国は蛍石の生産量で世界一なのに、蛍石が加工されて半導体の材料になると、世界最大のシェアを持っているのは日本になる」と強調し、原材料を生産していながら加工品でシェアを確保できていないのは「技術力がないため」と伝えている。

 この動画に対し、中国のネットユーザーからは「これは輸出をコントロールするか価格を釣り上げるべきだ」、「戦略的鉱物ならば輸出を制限または停止するべきだ。或いは同等の資源と交換だな」などの意見が多く寄せられた。中国では、多くの人が蛍石をレアアースと同じように外交カードとして使うべきだと考えているようだが、蛍石は中国以外にも存在している資源である以上、仮に戦略カードとして使えば他国は中国以外の調達ルートを開拓するだけではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)