日本経営管理教育協会が見る中国 第660回 ――楠田貴康

 問題とは、あるべき姿と現状とのギャップのことをいいます。あるべき姿は、どうやって頭の中に描くのか、現状は、どうやって的確に把握するかが大事な点である。そのギャップを埋めることを問題解決といって、その手段としてカイゼン活動があります。

1) カイゼンに必要な小集団活動

 カイゼンとは、工場の生産現場の作業効率や安全性の確保を見直す活動のことです。現場の作業者が中心となり知恵を出し合うことで問題を解決する点に特徴があり、誤りや欠点を是正する意味の「改善」と区別するために「カイゼン」と表記されます。また、「Kaizen」と表記して海外でも通用する言葉となっています。特にトヨタ自動車のカイゼンは有名で、トヨタ生産方式の強みの1つになっています。

 小集団活動でよくみられる現場の作業者が中心となり知恵を出し合うときの手順は、代表的には次の通りである。

 はじめにテーマ設定を行い、作業者が意見を出し合います。その意見から似たアイデア同士をグループにして大きな項目でくくることをします。これらの作業は、アイデアの発散と収束を繰り返すことでデータの見える化(構造化)することができます。すべてのアイデアは実行できないのでどれかを選ぶ必要がでてきます。そのため、アイディアの評価・選択プロセスを、チーム全員で行います。例えば、アイデアから「実行が容易」、「効果が高い」、「新規性が高い」という3つの基準で評価した場合に、実行しにくそうでも有用性や新規性が高いアイディアの可能性を複数選択して、詳細をシミュレーションしていくことができます。そのあとは、「効果」と「実現性(実行コスト)」の2つの軸で構成されるマトリクスを用いて、効率的なアイデアを分類することで「すぐできること」「別の機会にやること」「簡単にできること」「単なる思いつき」に分類される。参加メンバーからアイデアへの投票をすると優先順位が明確になり、ストーリー化が可能になってくる。このストーリーは、誰が、いつまでに、どうするか?という担当者と5W1Hを明確にするプロットタイプが出来上がります。

2) デザイン思考の流れ

 デザイン思考の流れは、【1】観察・共感(Empathize)→ 【2】問題定義(Define)→【3】アイデア創出(Ideate)→ 【4】プロトタイピング(Prototyping)→ 【5】検証(Test)の5つのプロセスで展開される。【1】【2】は、問題発見プロセスであり、【3】【4】【5】は、問題解決プロセスである。

 最近、よく「デザイン思考」という言葉を耳にするが、デザイン思考がどういったもので、どのように活用されているのか、という点まで知っているという方はあまり多くはいないようです。「これまで一般化・普遍化された事象・概念をいったん見直して、分解して再構築しなおす思考と行動」をデザインであると解釈してみると、作業者が中心となり知恵を出し合うこれらの一連の流れは、デザイン思考の流れを確認してみると合致しているようにみえる。

 小集団活動は、実はデザイン思考の流れにのせることができるのではないだろうか。(写真は、小集団活動。提供:日本経営管理教育協会)