2021年の春節(旧正月)は、中国政府が帰省自粛を呼びかけたため、中国高速鉄道の乗車券の販売数は例年の4割にとどまったという。これはただでさえ赤字経営であるところに、さらなる打撃となったようだ。中国の動画サイト西瓜視頻はこのほど、赤字経営の中国高速鉄道の将来性について分析する動画を配信した。

 動画では、中国国家鉄路集団の高速鉄道関連の負債総額が5兆6000億元(約91兆円)に達していると伝え、18ある鉄路局のうち12の鉄路局は赤字となっていると強調。「多くの中国人は高速鉄道の運賃が高いと感じており、赤字であることを不思議に思っている」としながらも、「建設コストが莫大であることから、高い運賃も焼け石に水なのが現状」と指摘している。

 そのため、専門家からも高速鉄道は将来大きな問題を引き起こす可能性が高いのに問題が軽視されている「灰色のサイ」となっているのではないかとの指摘が出ている。しかし、中国はそれでも高速鉄道の建設を加速しており、2035年までに総延長を7万キロにする計画だと伝えた。

 なぜ巨額の負債があり赤字経営であるにもかかわらず、中国は高速鉄道の建設を続けるのだろうか。動画によると、高速鉄道建設に伴って関連産業が潤うからだと指摘。建設に関わる産業は幅広く、多くの雇用を生むので経済効果が高いとしている。また、電力を動力とするので環境負荷が小さく、輸送効率が高いというメリットもあるほか、多くの人が利用する高速鉄道は将来的により大きな経済効果を生む余地が大きいと説明した。それで、今の赤字だけを見るべきではなく、戦略的意義で見るべきだと主張している。

 このほか、諸外国も赤字になると分かっていても高速鉄道の建設を進めていると紹介。「赤字になることは恥ずかしいことではないが、建設できないことは恥ずかしいことだ」と論じた。高速鉄道は郵便と同様、国内をつなぐ重要なインフラであるため、利益に関係なく建設すべきだとも主張している。

 確かに経済効果は大きいだろうが、巨額の負債を一体どのようにして解決するのかについては触れておらず、中国高速鉄道が「灰色のサイ」である可能性は否定できないのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)