中国高速鉄道の路線拡大は今も続いており、2035年までには総延長を7万キロにまで拡張する計画だという。中国高速鉄道は多くの路線が赤字経営だと言われているが、なぜそれでも建設を続けるのだろうか。中国メディアの捜狐はこのほど、「赤字を垂れ流す中国高速鉄道の建設が続く理由」について分析する記事を掲載した。

 記事によると、2020年上半期の中国国家鉄路集団の赤字額は955億元(約1兆5566億円)に上った。また、所属する18の鉄路局のうち3分の2が赤字で、黒字なのは北京・上海間の京滬(けいこ)高速鉄道など6路線に過ぎないという。しかも、黒字路線であっても運営コストに対して黒字というだけで、建設コスト回収には程遠い状態だと指摘した。

 それでも建設を続けているのはなぜだろうか。その主な理由は「経済発展に寄与するから」だと分析。例えば、京滬高速鉄道は周辺地域の経済発展に大きく貢献しており、1億元(約16億円)の投資に対して周辺地域のGDPは1億8000万元(約28.8億円)増加するとの研究結果もあると伝えた。

 実際、高速鉄道の建設は大量の建築資材を使用し、多くの作業員が必要なので、地域の関連産業が潤い多くの雇用を生むと指摘。しかも、動力が電力なので二酸化炭素排出削減となり、交通渋滞の緩和にも役立つのでこれに伴い交通死亡事故の減少にもつながっていると分析した。さらに、高速鉄道駅ができることで地域の観光業発展にも寄与しているという。

 それで記事は、「高速鉄道の価値は単純に経営が黒字かどうかだけでは測れない」と主張。国民全体に及ぶ経済的利益は数字や公式で簡単に表れるものではないので、高速鉄道の背後にある戦略的価値はなかなか見えにくいものだと論じた。
 
 確かに、高速鉄道建設が多くの雇用を創出し、関連産業を育て、景気を下支えしていることは間違いない。しかし、赤字路線ばかりの現状では、巨額の負債はやはり大きなリスクとなっていると言えるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)