日本経営管理教育協会が見る中国 第658回 ――水野隆張

 2021年2月1日から中国で「海警法」が施行されることになった。

 2021年1月22日、中国の全国人民代表大会(全人代)において、中国海警局の任務や権限を明示した「中華人民共和国海警法」(以下「海警法)が可決され、2021年2月1日から施行されることとなった。この法律によって、海警局巡視船に、外国船取り締まりに際しての武器使用権限が付与される。今後、尖閣諸島周辺海域での中国側の活動がより強化され、同海域で操業する日本漁船はますます圧迫されるものと懸念されている。

◆海警局巡視船の厄介な体当たり戦法

 海警法によって外国船に対する武器使用が認められることになるが、当面海警局巡視船が日本漁船に対して武器を使用する可能性はほとんどないと言ってよいだろう。そもそも、小型の日本漁船に海警局巡視船が接近するだけで、日本漁船側は極めて大きな脅威を感じるのだから、中国巡視船が日本漁船に発砲する必要はないからだ。厄介なのは中国海警局巡視船や中国海軍艦艇がこれまでも多用してきた「体当たり戦法」を外国の軍艦や巡視船に敢行する可能性が予測されることである。

 艦艇構造の専門家によると、中国の大型巡視船や駆逐艦などには、明らかに「体当たり」を前提とした形状が認められるということである。中国当局は2万トン級の船舶への体当たりにも耐え、9000トン級の船舶との衝突では何のダメージも受けないように設計されていると豪語しているということである。

 もしも「体当たり」のために急接近してくる中国巡視船を米海軍駆逐艦あるいは海自駆逐艦が攻撃して撃沈した場合、軍艦が巡視船を先制攻撃したということになり、軍艦側から軍事力を行使したものとみなされてしまいかねないことになる。まさに厄介な法規定と言わざるを得ないのである。

◆中国側は日本政府の無策を嘲笑している

 菅首相はアメリカのバイデン大統領との電話会談で「尖閣諸島は安保第5条の適用範囲にある」などと言ってもらったと安心しているようだが中国側は「それはただ日本がアメリカを頼り切っていることを曝け出しているだけだ」と日本政府の無策を嘲笑している論調が出されているようである。

 日本政府がこれまでのようになにもしなかったら「もう尖閣は終わりだ」ということになりかねないであろう。中国は本気で世界制覇を狙っており、中国国防相の報道官は中国が台湾周辺の空域で爆撃機や戦闘機を頻繁に飛行させるなどの活動を活発させていることについて「外国による干渉や台湾独立をはかる勢力の挑発への厳正なる対応だ。台湾独立は戦争を意味する」などという過激な発言をしている。中米対立の中で日本はどう立ち向かうかが問われており日本の政治家の大いなる覚悟が求められていると思う次第である。(写真は、横須賀港のイージス艦。提供:日本経営管理教育協会)