日本経営管理教育協会が見る中国 第656回 ――永野剛

 アメリカ大統領選挙の結果、バイデン氏が第46代大統領に決まった。1月6日選挙結果を確定させる審議中、議事堂にトランプ支持の過激派が乱入し死傷者が出る事件となった。その直前、議事堂前に集まった支持者を前にトランプは「議事堂に進め!」と群衆を煽った。そして今回の結果となった。到底許されるべくもないが、トランプならやりかねないと思っていた。この事件以降SNSではトランプ派はダンマリだ。

■アメリカ第一主義

 国際協調という路線とは真逆である、アメリカ第一主義に基づく数々の傲慢な大統領令の乱発。一例を挙げると、中国との必要以上の対立、メキシコ国境に壁建設、黒人に対する警察の対応、意味が無い北朝鮮訪問など、かつて世界の警察とも言われ、一部の日本人が憧れていたアメリカが今や地に落ちた。真にトランプの罪である。その政治が終わる。これほど喜ばしいことは無い。

■ノイジーマイノリティー

 声の大きい少数意見を“ノイジーマイノリティー”と定義する。“サイレントマジョリティー”(声の無い多数派)の対義語である。このノイジーマイノリティーは大衆の意思を左右させる作用がある。振り返ると本当に独断の4年間であった。クリントンとの接戦の上、約2億4千万人の米有権者のうち約6,500万人から支持を得て彼は大統領となった。世界最大のGDPを誇るアメリカが故に、世界諸国への影響も当然大きい。別な表現をすれば、世界75億人の中でたった6,500万人だけが支持していたと言ってもよい。意見の無い多数派をいかに取り込むか。自分に肯定的な支持者を取り込むためにSNSを使い、支持者を拡大していった。その中で直接大統領の熱い思いが直接伝わるが故に、熱狂的な支持者を生み出したのではないだろうか。彼ほどSNSで意見を表明した大統領は過去いない。

 今回の選挙では民主主義を標榜する国のトップが、選挙結果で示された民意に最後まで従わなかった部分は驚きに値する。今でも共和党の一部支持者には選挙結果を受入れないと言い張る輩もいる。これはトランプ中毒に陥っているのではないだろうか。事実として、ビジネスでは成功を収めた経営者が、自己中心的な政権運営をしてきた末の結果である。

■国際協調路線への期待

 オバマ前大統領が広島を訪問し、被爆者を抱きしめるシーンは記憶に新しい。日本敗戦が決定的となった原爆投下の地を、当事国トップが訪れたことにより、ようやく戦後に区切りが着いたようなムードが漂ったのが数年前。これから世界が協力して環境問題や、原発問題など多くの諸問題を国際的な枠組みで解決していかなければいけないと誰もが思った。しかしトランプの登場で世界感は一変することになった。
 
 そして今月。空白の4年間が遂に終わった。バイデン大統領には米国のみならず国際協調路線でバランスのとれた政治を行って頂きたい。今こそ新生アメリカも加え、地球市民的に政策を捉え、人類共通の敵である「コロナウィルス」と闘っていく時である。(写真は、夜明けの美しい朝日。提供:日本経営管理教育協会)