日本では職場環境を改善するための「5S」が重視されている。これは「整理、整頓、清掃、清潔、躾」という、職場環境を改善するうえで重要な5つの単語の頭文字を取ったものだ。中国メディアの騰訊はこのほど、この5Sについて「日本企業は5Sが徹底できるのに、なぜ中国企業にはできないのか」を分析する記事を掲載した。
 
 記事はまず、中国は職場環境の整備がかなり遅れていると指摘。2015年に「中国製造2025」を発表し、製造大国から製造強国を目指している中国だが、「9割の企業で5S推進が失敗している」のが現状だという。日本企業との違いはどこにあるのだろうか。

 その違いは複数あるそうだ。1つは「かけた時間」だという。日本は数十年という時間をかけて少しずつ5Sの定着を進めてきたが、中国はわずか3カ月から半年で達成しようとしたので、無理があったという。人の習慣や考え方を短時間で変えるのは難しく、短時間で5Sを定着させるのはほぼ不可能だろう。

 さらに、中国の製造業は「人件費の安さ」を背景とした「低コスト」を強みとし、低コストこそが利益の源泉と考える企業が多かったとし、こうした考えが「5S」の徹底を妨げたと紹介。中国企業の多くは「5Sを導入したところで、生産コストが下がるわけではない」と考えたということなのだろう。

 また記事は、日本と中国では「従業員の心構え」も大きく違っていると紹介。日本には会社への忠誠心や奉仕の心を持ち、責任感のある従業員が多くいるが、中国にはそのような意識を持つ従業員がほとんどいないと主張。しかも、中国企業の多くはこれまで従業員を大切にしてこなかったとした。従業員たちも「自分のためにならない5Sなど、面倒なだけ」と考えてしまったことが5Sの徹底を阻害したのかもしれない。

 記事は、多くの中国企業はまず「5Sではなく、1Sから始めてみてはどうか」と呼びかけているが、これだけ課題が山積していることを考えると、1Sであっても徹底までの道のりは遠いのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)