日本では、水がおおよそ体温以上の温度にまで上昇すると「湯」という呼び名に変化する。しかし、中国ではいくら温度が上がっても、100℃になって沸騰しても「水」である。では、中国で「湯」は何を指すかと言えば、味の付いたスープのことを指すのだ。

 中国のポータルサイト・百度に10日、「もし日本が漢字を全部排除しようとしても、この字だけは排除できないであろう文字」として「湯」の字を取り上げる記事が掲載された。

 記事は、「湯」の字が中国では食用のスープを指すのに対して、日本では「熱い水」という全く異なる意味を持っているのだと紹介した。

 そして、日本人が「湯」と聞けば大概はお風呂や温泉を想起するとし、日本のどの家庭にもある浴槽に入る行為も、日本全国津々浦々にあり、日本人が大好きな温泉に入る行為も、「湯」に浸かる行為なのだと説明している。

 その上で、日本人の「湯」という文字に対する愛着ぶりはすでに骨身にまで浸透しており、簡単に代わることはないとし、仮に日本で猛烈なナショナリズムが巻き起こって中国を起源とする文字である漢字を廃止することになったとしても、この「湯」という文字だけは名残惜しくて捨てられないのだと伝えた。

 日本人が絶対に手放したくない漢字として「湯」を選んだのはおもしろい。ただ、「湯」だけに特別な思い入れがあるという訳ではないだろう。中国を起源とし、古代に日本に伝わってきた漢字は長い時間をかけて日本で独自の発展を遂げ、その過程の中でひらがなやカタカナを生み、中国には存在しない「国字」を生み、近代には外来語を翻訳した大量の漢字語が中国に「逆輸入」された。

 特定の文字に対する愛着、思い入れもさることながら、日本人は自分たちで醸成してきた漢字の文化字体に愛着を持っているのではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)