日本経営管理教育協会が見る中国 第645回 ――磯山隆志

◆高まるBTS人気

 BTS(防弾少年団)は、もはや言うまでもないことであるが、世界的に人気のある韓国出身の男性7人組アイドルグループである。2013年のデビューと同時に韓国国内で人気を博し、日本においても曲がヒットした。さらにはワールドツアーの開催などにより、次第に世界的な成功を収めるようになった。中国でも人気で今年の9月には、メンバーの誕生日に中国のファンクラブが、韓国の高速鉄道の列車に誕生日を祝うラッピング広告をして話題になった。

 2018年には3枚目のアルバム「LOVE YOURSELF 轉 'Tear'」がアメリカのビルボード・アルバム・チャート「Billboard 200」において、韓国系としてもアジア系のアーティストとしても初の1位を獲得、さらに次のアルバムであるコンピレーションアルバム「LOVE YOURSELF 結 'Answer'」、3作目の「Map of the Soul: Persona」、最新の「Map of the Soul:7」と4作連続の1位となった。このアルバムは日本のオリコンチャートやイギリスをはじめ多くの国で1位となっている。

 そして、ついにビルボードの全米シングルチャートにおいても、初めて全編英語で歌った「Dynamite」が1位となり、韓国のアーティストとして初の快挙を成し遂げた。これはアメリカで人気のCardi BやDrakeを抑えての1位であり、BTSの人気の程がうかがえる。「Dynamite」は現時点までに3週、1位となり、ストリーミング再生でも最速で累計1億回を突破、ミュージックビデオも5億回の再生回数を突破したとされる。今月には新しいアルバムの発売も予定され、さらなる活躍が期待されている。

◆発言が中国で問題視

 問題のきっかけになったのは、10月に非営利団体が韓米関係発展に寄与した人物や団体に贈る「ヴァン・フリート賞」を、BTSが受賞したときのメンバーのスピーチとされる。そのスピーチは、今年が朝鮮戦争70周年であり韓米両国が経験した苦難の歴史と犠牲を忘れてはいけないという内容であったという。今回の発言は賞の意味合いからしても、特に問題がない発言と思われる。しかし、中国の一部メディアやネットユーザーから、朝鮮戦争時の中国側の犠牲について触れられていないと批判の声が上がった。この影響により、サムスン電子や現代自動車などの韓国企業が、BTS関連商品をショッピングモールから削除するに至った。

 それだけ今のBTSに人気や影響力があることを物語っている出来事ともいえるが、発言に対する批判は中国国内でも過剰な反応との声もあり、現時点では沈静化してきているとみられる。中国の過剰な反応に対して韓国企業も敏感に反応したともいえる今回の出来事は一時的なものになりそうだが、今後も同様なことが起きた場合にはどうなるであろうか。韓国のアーティストが世界的な人気を獲得するにしたがい、その発言も注目されている。一見問題がないようなことでも、批判の対象になりかねないということで配慮するようになるのか見ていきたい。(写真は、韓国高速鉄道。提供:日本経営管理教育協会)