東京電力福島第1原発のタンクにたまり続けている汚染処理水について、日本政府は放射性物質の濃度を下げた後に海に流して処分する方針との報道があったが、これに対して中国からは慎重な対応を求める声が出ている。中国メディアの上観は21日、汚染処理水を海へ放出することに懸念を示す記事を掲載した。

 記事は、日本政府の方針について「狭量な利益からしか考えておらず、太平洋の周辺国に責任を負わせる反人類的な行動だ」と厳しく批判。中国のネット上では、日本の方針を擁護する声も中にはあるとしつつも、そのことに強く反論している。

 たとえば、日本を擁護する意見に「処理水は放射能汚染水とは異なる」との主張があると紹介。処理水はトリチウム以外の放射性物質を取り除いているが、完全に放射性物質がなくなるわけではないので、日本は最終的に40分の1程度に希釈して30年かけて海へ放出することにしたと説明しているという。

 しかし記事は、「これは世界の科学界からの疑念を無視し、完全に目を閉じて話をしているようなものだ」と主張。各国に放射性物質を含んだ汚染水の排出基準があるのは確かだが、それは事故が発生していない安全な状況での基準であって、日本のように深刻な事故を起こしたケースと同じに語るのは「恥知らずな概念のすり替えだ」と批判した。また、処理水はトリチウム以外の放射性物質を除去したとしていたものの、実際には他の放射性物質が残留していた事実があり公表していなかったと指摘。「いわゆる処理水は日本政府の欺きだ」と強く非難している。

 処理水の海洋放出については、地元福島の漁業団体や住民からも反対の声が出ているほか、世論調査では国民の過半数が放出に反対との結果も出ている。とはいえ、2022年にもタンクの保管容量が限界を迎える見込みである以上、何らかの対応が迫られているのも事実だが、十分な説明と誠実な対応が求められているといえるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)