日本経営管理教育協会が見る中国 第642回 ――永野剛

 10月8日(木)に、あの辛辣な交通事故を起こした容疑者の初公判があった。内容はまさかの容疑者の無罪主張。この事実を批評せずにはいられない。これからの日本を創る若者世代が高齢ドライバーによって悲しい目にあい、そのドライバーは口先だけの反省を述べ、真摯に自分の過ちを認めようとしない姿勢は最大限の批判に値する。

 そもそも自主返納制度自体が間違っている。警視庁のホームページを見てもあくまで自主返納なのである。私はある一定の年齢と条件に該当した場合は、本人の希望に関わらず免許取り消しにすべきだと考える。頑な高齢ドライバーに対しては、家族から返納を促すべきとの声あるが、そんなことは現実的では無く、本当に警察は高齢ドライバーの事故を撲滅する気があるのか疑問に感じる。もっと効果的な対策が必要だ。

 高齢ドライバーが自分の判断で運転した結果が池袋暴走事故である。その裁判の舞台においても、自らの行動を認識する能力も無く、被害者の心情を無視した時間稼ぎとも取れる無罪主張。さらに自動車メーカーへの責任転嫁をしているが、企業努力による安全運転性能の向上により交通事故自体は減少している。減少傾向の中で高齢者が事故を起こした割合は2019年度で18.1%と2010年から毎年増加し続けている。今後も高齢ドライバーが増加する日本社会において、“自主的な免許返納を促す”などと悠長な事を言っている場合では全く無く、一刻も早く法制度を改めるべきだ。車が無いと困るという人もいるだろうが、命と利便性のどちらが重要かという事だ。尊い命が亡くなっているのだ。

 この事故を直視し危機意識を強く持つ政治家に期待したい。若年層と比較すると、この年齢層は高い投票率を有している点や、生活に直結する部分となるため、主張し難い点であることは理解する。しかしながら、加害者と被害者の双方にとって不幸すぎる曖昧な状態を放置すべきではない。安心して暮らせる社会実現にとって“高齢ドライバーが一定の条件に該当した場合の免許取り消し(再取得不可の没収)”は必要不可欠であり早急に対処すべき国の課題であると思う。実現に向け、コミュニティバスをより充実させるなど、行政と警察が協力し、高齢ドライバーの免許取り消しをいち早く社会に実装するべきである。(写真は蔵前の墨田川沿いから東京スカイツリーを望む。提供:日本経営管理教育協会)