高速鉄道網が全国に張り巡らされた中国。乗車料金を安く設定していることもあり、ほとんどが赤字路線だと言われているが、気軽に利用できる公共交通機関として、大きな貢献をしてきたのは間違いないだろう。しかし、中国メディアの網易は16日、「高速鉄道はストロー現象のリスクをはらんでいる」と指摘する記事を掲載した。

 ストロー現象とは、新幹線や高速道路などの交通網の整備により、ヒトやカネが大都市に吸い込まれる現象のことだ。交通が発達することで、地方都市は経済の活性化を期待するものだが、逆に大都市に吸い取られてしまう可能性があることを示す言葉だ。

 記事は、高速鉄道にはこのリスクが付きものだとして、新幹線の例を紹介している。東海道新幹線の開通に際して、日本は「関西地区の発展」に期待したと紹介。すでに人口も経済も集中していた東京から、大阪を中心とした関西地区に移住する人が増えると予想していたという。しかし、東海道新幹線の開通は、逆に東京が関西から大勢の若者を「吸い取る」役割を果たしてしまった可能性があると伝えた。

 もっとも、新幹線すべてに「ストロー現象」が見られるわけではないが、もともと都市部と農村部との格差が激しい中国では、この現象がより顕著に表れているのは想像に難くない。記事は、ストロー現象は「医療と教育の格差を助長する」と警告している。記事によると、中国国内で最も平均寿命の高い都市は上海で、2位が北京、3位が天津だという。環境汚染の激しい大都市のほうが寿命が長いのは意外だが、これは医療水準の高さと比例していると記事は分析した。

 中国は高速鉄道事業に今も意欲を燃やし、リニア高速鉄道の建設では日本をライバル視している。しかし、このままでは都市間の格差を埋めるどころか、貧富の差がより深刻化するリスクがあるのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)