日本経営管理教育協会がみる中国 第641回 ――下崎寛

 最近の日本経済新聞によれば、河野太郎元防衛大臣は、米英などの5カ国の機密共有の枠組み「ファイブ・アイズ」との連携拡大に意欲を示したとの発表があった。

 日本の国家安全保障システムについては、米英に比較して相当遅れており、ようやくスタートを切ることとなった。

 ところで「ファイブ・アイズ」とは、どのようなものであろうか。

 日本ビジネスインテリジュンス協会会長中川十郎会長のお話しでは、「ファイブ・アイ」とは、米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドのアングロサクソン系英語諸国が第二次世界大戦中の1940年代後半に結成し、スパイ衛星9機を赤道上空、情報受信機トランスポンダー3機を米国、アジア、アフリカ上空に打ち上げ、世界中の情報を傍受、盗聴している。このスパイ・システムはエシュロン(梯子の隠喩)と呼ばれている。地上の受信アンナは10基あり、カナダ(1基)、米国(2基)、ニュージーランド(1基)、豪州(2基)、英国(2基)、ドイツ(1基)にある。なんと最大クラスの受信アンテナが日本の青森三沢基地にあるといわれている。三沢基地の受信アンテナはロシア、中国、北朝鮮の機密情報収集に活用されているものと見られている。このようなスパイ組織に日本も参加し、シクス・アイズの一員となりたいとし、7月21日の英議会トム・トウゲンハット外交委員長ら議員団とのビデオ会議で、参加を要請された河野元防衛相は「歓迎する」と前向きに応じたという。

 このように、日本の国家安全保障システムが遅れた原因は何であろうか。

 日本人は、戦後復興のため、技術を磨き、世界の工場としてGDPを成長させてきたが、自国の繁栄のみを考え日本のマーケット中心のマネジメントしか考えていなかったというガラパゴス化してしまった。そこでは、グローバル的マネジメントに欠け、電子産業、家電産業が中国、韓国に負け衰退してしまった。また、エセ民主主義を前提とする反政府、反憲法、反安保のマスメディア、日本の野党の姿勢も影響して、日本の国家安全について前向きな改革ができなかったことも原因である。

 しかし、世界は、きれいごとでは済まない。基本は、アングロサクソン系とアジア系のパワーバランスであり、米中問題はその最たるものである。また、最近の中国の覇権主義が目に余り、米英が排除する傾向にある。そのパワーバランスの決定要因は、情報戦争である。

 本来であれば、日本、中国、韓国が中心となって、アジア系諸国が団結し、アングロサクソン系に対抗する組織化する必要があるが、中国は共産党により、排他的であり、韓国は反日政策を取るなど各国が反目している状況である。

 これでは、アングロサクソン系の思うつぼである。今後、アジア圏としてユーロのような通貨を統一し、自由貿易関係を築き、パワーバランスを取り戻す必要があるのではないだろうか。(写真は、市ヶ谷防衛省。提供:日本経営管理教育協会)