一向に収まる気配のない米中貿易戦争。米国が中国に対する攻勢をますます強めている感があるが、中国には反転攻勢となるカードがあるようだ。中国メディアの新浪軍事はこのほど、中国がいかにして「レアアース」というカードを切るかについて分析する記事を掲載した。

 いうまでもなくレアアースは、最新の軍事兵器や電子機器を製造するうえで必要不可欠な材料だ。記事は、レアアースの世界シェアにおいて中国は圧倒的優位だと紹介。特に鉱石からレアアースを分離する技術において、中国は長くその技術を蓄積していて「世界トップレベル」だとしている。

 一方、米国はレアアースの多くを中国からの輸入に依存していると指摘。短期間のうちに中国以外からの調達先を確保するのは容易ではなく、そのため米国も中国のレアアースには関税をかけていないのだろうと推察した。そのうえで、米国のレアアース依存の一例として、米国の軍事企業が製造する兵器について紹介。たとえば、最新鋭のステルス戦闘機であるF35を1機製造するのに400キロ以上のレアアースが必要であるほか、パトリオットミサイルには4キロのネオジム磁石が必要だと伝えた。

 続けて記事は、米国国内にもレアアースは多く埋蔵されているが、資金や環境問題などのためなかなか大規模な生産ができない状況だと説明し、「短期間のうちで米国が国内にレアアースサプライチェーンを作ることは極めて困難だ」と論じた。実際、2016年の米政府監査院のレポートでは、米国が国内にレアアースのサプライチェーンを再構築するのに15年かかると見積もっていると紹介。それで「中国がレアアースというカードを出せるかどうかは、この先数年にかかっている」と主張した。

 しかし、中国はかつて日本に対してレアアースというカードを使用した結果、日本が新規調達先を開発したり、レアアースを使用しない技術を開発したりしたことで、レアアース価格が暴落して自らの首を絞めることになったという苦い経験をしている。レアアースは「切り札」となるかもしれないが、同時に諸刃の剣でもあるといえ、中国にとっても安易に出せるカードではないだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)