日本経営管理教育協会が見る中国 第640回 ――宮本邦夫

 AI(人工知能)が一般的に言われるようになってから、かなりの年月が経過しているが、日本のデジタル化は発展途上国並みであるという。それが如何に遅れているかは、先ごろの10万円のコロナ給付金支給を見ても明らかである。政府は慌ててデジタル庁を創設するようだが、民間会社のデジタル化やAI人材はどうなっているのであろうか?

◇なかなか進まないキャッシュレス化

 デジタル化が進んでいない典型的な例として挙げられるのがキャッシュレス化である。中国では、小さな飲食店でもスマホで支払うことができるし、韓国ではカードでの支払いがごく当たり前になっている。これに対して、日本では、未だに現金決済が大半を占めている。政府は、キャッシュレス社会を目指していろいろな手を打っているが、その実現には、まだまだ時間がかかりそうである。デジタル化が進まない原因、要因として様々のことが考えられるが、その1つの要因として、多くの人が指摘しているのが民間会社におけるAI人材の不足である。

◇圧倒的に少ない日本のAI人材

 AI人材というのは、言うまでもなくコンピューターに関する専門知識を持ち、様々な人工知能システムをプログラミングできるプロフェッショナルのことである。米国のあるコンサルティング会社の調査によると、世界のビジネス界で活躍しているAI人材は約45万人で、このうち米国が13万人、中国が7万人で、両国で実に全体の44%を占めている。ちなみに、日本は1万8千人で、米国の1/7、中国の1/4という少なさである。この数字を見ても、デジタル化を推し進めるには、AI人材の育成・活用が如何に重要であるが頷けるはずである。

◇AI人材の育成と活用

 AI人材の育成であるが、AI人材にとってデータの解析が重要な仕事になることを考慮すると、数学の基礎知識をしっかりマスターさせることがまず大切である。次に大切なことは、プログラミングの技術の習得である。これらに次いで必要とされる能力は、マネジメントの知識と技術である。AI人材の活用では、給与については年功序列をやめ成果主義賃金にするなどの待遇改善を行うことである。また、AI人材の大多数が専門職として長く働きたいと希望しているので、日本的人事である定期的な配置転換についても見直しをすることが必要である。(写真は、国勢調査のオンライン回答画面を開いたパソコン。提供:日本経営管理教育協会)