中国では親が出稼ぎに出て子どもを農村に残す「留守児童」が社会問題となっている。2013年の調査では6100万人と言われていたが、定義が変わったためか18年には697万人にまで減少したようだ。それでも農村に多くの子どもが残されていることに変わりはない。中国メディアの新華網はこのほど、日本にはなぜ留守児童がいないのか分析した記事を掲載した。

 日本でも戦後は出稼ぎや集団就職で多くの人が上京し、高度経済を支えてきた。記事は、「日本の人口の3割が東京圏に集まった時期もある」と紹介している。ではなぜ、日本では中国のような「留守児童」が問題にならなかったのだろうか。

 中国で出稼ぎする親が、子どもを田舎に置いてくる理由には「生活環境」と「教育」がある。大都市に出てきて働くとしても、とても子どもを育てられる環境ではないそうだが、記事は日本の戦後の出稼ぎ労働者の環境は悪くなかったと指摘している。政府は彼らを「金の卵」と大切にし、職業安定所を設置して仕事をあっせんし、公営団地を建設して住まいを確保したほか、従業員用に宿舎を提供する企業も多かったため、地方から家族を連れてくる人もいたと紹介した。

 また、中国の戸籍制度は日本と異なっており、農村戸籍の子どもは基本的に都市部の学校には入学できない。しかし、日本にはこの問題はなく、住民票を移動するだけで移転先の学校に入ることができ、急増する子どもを受け入れるため学校を建設したりクラスを増やしたりして対応したと伝えている。

 記事はさらに、そもそも日本では「出稼ぎ率は高くなかった」とも指摘している。中国の田舎では仕事が見つからず自給自足をしても現金が手に入らないのだが、日本の農家は兼業農家が多く、出稼ぎも短期の場合が多い。日本列島改造計画の一環で「田舎に工場が建てられた」日本では、都会に出ていかなくても地元で仕事を見つけやすく、出稼ぎに伴う問題が回避されたと伝えている。

 今の中国には、戦後の日本に似ている部分があると言えそうだ。中国は中所得国の罠に陥るのではないかと戦々恐々のようだが、一億総中流を成し遂げたと評価されている日本は中国の目指す姿なのだろう。留守児童問題も回避できた日本には、中国が学ぶべきところが多いはずだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)