日本経営管理教育協会が見る中国 第638回 ――磯山隆志

◆アメリカの技術を用いた外国製半導体供給を全面的に禁止

 ファーウェイ(華為技術)は、主にコンシューマー向け端末事業、法人向けICTソリューション事業、通信事業者向けネットワーク事業を展開している中国の世界的な大手通信機器メーカーである。9月15日、アメリカ政府はファーウェイに対して、新たな輸出規制を施行した。その内容は、アメリカの技術を使って製造した海外メーカーの半導体の供給を、事実上全面的に禁止するというものである。

 これまでにもアメリカ政府は、サイバーセキュリティなど安全保障上の脅威を理由にファーウェイに対するアメリカ製品や技術の輸出規制を行ってきた。今年に入ってからも5月には、ファーウェイが設計してアメリカの技術を使って海外で製造された半導体の供給を禁止していた。しかし、自社設計の半導体を外国メーカーの製品に置き換える制裁の回避が指摘され、規制の対象を汎用品にまで強化した。

 半導体の製造にはアメリカの技術の使用が不可欠ともいわれる。そのため、今回の規制強化により、ファーウェイは高性能な半導体を調達することが難しくなるとみられている。また、日本企業とファーウェイの取引規模は1兆円にのぼるとの見方もあるため、その影響を懸念する声もある。スマートフォンの生産が減少すれば部品を供給する日本企業に影響が及ぶ可能性も指摘されている。

◆米中の対立はいつまで続くか

 中国は半導体の国内での内製化を進めているが、技術的に追いつくには時間を要すると見られている。スマートフォンに関して、ファーウェイはすでにGoogleとのビジネス停止を考慮して独自OSの開発を進めていたが、規制による生産減の予測から価格が上昇しているとの報道もある。

 アメリカのトランプ大統領は、中国との経済的な関係を切り離す「デカップリング」に言及したといわれる。ファーウェイへの規制以外にも、TikTokのアメリカでの事業をアメリカの企業に売却しなければ使用を禁止するといった方針を明らかにしていた。TikTokとアメリカのソフトウェア大手オラクルの提携は承認されたが、こうした動きに対して中国が提携を承認するかが注目されている。一方、中国も主権や中国企業の利益を損なう外国企業をリスト化して、輸出入や投資を禁止する制度を発表したとの報道があった。

 このような米中の対立はいつまで続くのであろうか。日本の企業、特に中小企業にとって新型コロナウイルス感染症による影響もある中で対立がエスカレートすれば、さらなる厳しい状況になることも考えられる。先を見越した難しい対応を迫られるが、今後の米中の動向や国内企業の好例に注目したい。(写真は、21世紀初頭、アメリカのコンピュータ展示会。提供:日本経営管理教育協会)