反日と愛国を促進するプロパガンダとして使われてきた中国の「抗日ドラマ」。検閲が通りやすく視聴率が稼げるとあって量産され、尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題で反日感情がヒートアップした2012年には、制作申請されたドラマ300本のうち3分の2が抗日ドラマだったそうだ。

 しかし、量産された抗日ドラマは質の低下が著しく、日本ではむしろ突っ込みどころ満載のエンターテインメント扱いされているほどだ。こうした突っ込みどころ満載の抗日ドラマは皮肉の意味を込めて「抗日神劇」と呼ばれているが、中国国内でもさすがに疑問の声が上がっており、最近では政府も規制に乗り出している。中国メディアの百家号は5日、抗日ドラマの質の低下を指摘する記事を掲載した。

 記事はまず、抗日ドラマは「低品質ドラマ」の代名詞になっていると指摘。時代考証をしていない内容や大げさな演出、設定の矛盾が目立つと嘆いた。素手で日本兵を切り裂く、中華まんで爆破させるといった描写のほか、ミニスカートの女性軍人まで出てくると紹介。当時日本兵には女性兵士はおらず、やたらとタイトなミニスカートをはかせていて、いかにでたらめで質が低いかを指摘し、「視聴率稼ぎに過ぎない」と批判した。

 また、当時あるはずのないペットボトルがテーブルの上に置かれていたり、スマートフォンで遊んでいる兵士が映っていたりすることもあると記事は紹介。うっかり映してしまったにしても、修正すらしていないことから、いい加減な制作だとも不満を表している。これでは本来のプロパガンダの意味をなすことはないだろう。

 あまりのひどさに中国政府も黙っていられなくなったようで、抗日ドラマについて7月に改めて「歴史をおもしろおかしく解釈したドラマは作るべきではない」と通達が出されたそうだ。本来の目的を逸したことで、日本でも別の意味でずいぶん注目を集めた抗日神劇も、こうした規制で今後はあまりお目にかかれなくなるかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)