日本の歴史ある街並みを和服姿で歩きたがる中国人旅行客は少なくない。美しい伝統衣装を着用して、その土地の歴史文化を感じるというのは特別な体験であろう。近年の中国でも観光名所や街中で中国の伝統的衣装の1つである「漢服」を着て歩く若者たちが現れ、注目を集めている。

 「漢服」を着て歩く若者たちの姿は伝統の保存という観点で見ると良いことのようにも思われるが、中国メディアの百家号は26日、「日本の和服は正統なスタイルで現代にまで伝承されているのに、なぜ中国の伝統衣装である漢服は正統なスタイルで伝承できないのか」と疑問を投げかける記事を掲載した。

 記事はまず、「漢服」は漢民族にとっての伝統衣装であり、中国に暮らすほかの55の民族にもそれぞれ独自の伝統衣装があるとしつつも、日本の伝統衣装である和服と比較すると「漢服は正統なスタイルで現代に伝承されていない」と主張。というのも、漢服を着る中国人の若者のなかには漢服の正統な着こなしを理解せず、安価で売られる漢服風の衣装に運動靴を履く人の姿も見られるからだという。

 これは悠久の歴史を誇る国の国民としては「嘆かわしいことだ」とし、その要因として「多民族国家という背景、5000年にわたる歴史における王朝の変遷や生活の欧米化」などが、漢服の伝承の妨げとなったのではと分析した。

 こうした分析に加え、近年の中国で見られる傾向として、「漢服をコスプレ感覚で楽しむ若者達とそれを任意で取り締まる『漢服警察』が出現し、互いに対立している」と紹介。漢服警官は漢服の正統なスタイルを守りたいという正義感から、漢服の着方、髪型や靴などの間違いを公衆の面前で指摘することがあるが、「こうした口論によってますます漢服が敬遠される」という矛盾が生じているという。

 日本ではいつ、どこで和服を着ていても周囲から奇異の目で見られることはなく、むしろ凛とした姿には羨望の眼差しが向けられるだろう。日本では和服警察なる存在が必要ないほど、着る人は正統な和服のスタイルをわきまえているが、これは中国人からすると非常に驚くべきことであったようだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)