中国では「手刀で人間を切り裂く」などの描写がふんだんに登場する「抗日ドラマ」が一時大きな問題となった。このような荒唐無稽な抗日ドラマは「抗日神劇」と揶揄されたが、中国メディアの騰訊はこのほど、史実を無視した、まるでコメディのような「抗日神劇」が大量生産されるに至った理由を考察する記事を掲載した。

 記事は、中国で「抗日神劇」が作られるようになったのは2005年ごろのことであり、2012年になると「抗日神劇」はまるでブームのように急増し、年に70本以上もの「抗日神劇」が制作され、その多くが非常に粗悪な作品だったと指摘した。

 中国で「抗日戦争」と言えば日中戦争を指すわけだが、現代の中国において抗日戦争をテーマにしたドラマは「制作コストが低く、大きな売り上げが望める収益性の高いコンテンツ」だと指摘。「抗日神劇」は視聴者の反日感情を利用して収益をあげることが目的であり、「制作さえすれば損することはなく、必ず利益が出るドラマ」として史実に合致しているかどうかを無視して制作され続けてきたと論じた。

 さらに、中国ではテレビドラマなどのコンテンツは全て厳格な検閲が行われるが、「抗日」をテーマに、愛国主義を発揚する抗日ドラマは検閲が緩く、細かい部分まで審査が行われず、簡単に検閲を通過してきたと強調。そして、少しでも視聴率を稼ぐために描写が徐々に過激になったのであろう、こうして中国では低俗化した粗悪な「抗日神劇」が大量に制作されてきたのだという。

 日本では抗日神劇について「軍事を題材としたコメディだ」、「お笑いという角度から見ると見るに値する」などという声が見られ、こうした日本国内での反応は中国でも報じられていた。日本人にコメディと見られていたことを「恥ずかしい」と報じたメディアもあったが、中国国家広播電視総局がこのほど「社会通念や常識に背く抗日ドラマは放送しないよう要求」したことから、今後はコメディのような「抗日神劇」は放送されなくなる可能性があるという。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)