中国のポータルサイト・百度に9日、近代中国を代表する文豪・魯迅も賞賛し翻訳した、近代の日本を代表する小説作品として芥川龍之介の「羅生門」を紹介する記事が掲載された。

 記事はまず、「羅生門」の作者である芥川龍之介について「20世紀初めの日本文学史における大家の一人」とし、特に短編小説で傑作を残したと紹介。一方で、その私生活は必ずしも幸福なものではなく、三島由紀夫、川端康成、太宰治といった日本の代表的な文豪同様最後は自殺を図り、35歳という若さでこの世を去ったとしている。

 その上で、「羅生門」が1915年に初めて発表された作品で、主人から暇を出され途方に暮れていた下人が主人公であると説明。生きるために盗賊になろうと考えるも実行できない下人が、女の死体から髪の毛を抜く老婆との話から「生きるための悪は仕方のないこと」と勇気を持ち、老婆の着物をはぎ取って漆黒の闇へと消えていくストーリーであると伝えた。

 そして、この作品の中で芥川が下人の心理的な変化を通じ、「善と悪」、「美と醜」との葛藤を経て、ついには「生きるための利己主義的で醜悪な人間性」へと向かわざるを得なくなる様子を数千字で表現したと解説。人間のエゴイズムをテーマとする作品が作られた背景には、意中の恋人が養父母から受け入れられず、最終的にあきらめざるを得なかったという芥川自身の経験があったとしている。

 また、この作品を呼んだ魯迅が「およそ人の魂というものは偉大な尋問者であるとともに偉大な犯人な のである。尋問者は自らの悪を弾劾し、犯人は自らの善について陳述する。そして尋問者は魂の中で汚れたものを暴き、犯人は暴かれた汚れの中でそこに埋もれた誉れについて弁明する。そうすることで、魂の深みが現れるのだ」と賞賛するとともに翻訳を行ったと伝えた。

 記事は、芥川の作品について「善悪や是非、道徳的な正誤を説いていない」と評する人がいるとしつつ、「芥川はスマートな人物であり、背景に含まれる深い意味を理解できる人だけが理解できればよく、そこが見えない人は単なる物語として読んでもらえばいいと考えていたように思う」と分析。一方で、物書きにおいてはスマートだった芥川も現実世界には耐えられず、結局自殺をしてしまうのだったとしている。

 そして、人間の本性や道理の探究には終わりが存在しないとし「人間は今を生き、全の心を持ち、美しい方へと進んでいくのである」と結んだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)