新型コロナウイルスの感染拡大が各業界に大きな影響を与えるなか、中国は国家事業としてのインフラ整備にひときわ力を入れているようだ。中国メディアの百家号は19日、「中国のインフラ整備がまた奇跡を起こすかもしれない」と主張する記事を掲載した。

 記事はまず、中国のインフラ建設計画はこれまで次々と奇跡を実現し世界記録を達成してきたと紹介。記事が新たな「奇跡」と自賛しているのは、2018年に承認された海底高速鉄道トンネル計画だ。これは、上海の南に位置する浙江省寧波市と浙江省舟山市を高速鉄道で結ぶというもので、海底トンネル掘削作業が必要になる。

 記事は「世界初の海底高速鉄道」と自信たっぷりだが、日本ではとっくの昔に新幹線が青函トンネルを走っているのを知らないのだろう。しかも中国としては初の試みであるこの海底トンネルはわずか10キロほどだが、青函トンネルは約53キロだ。とはいえ記事は、これまで次々と世界記録を打ち出し驚かせてきた中国に「できないことは何もない」と自信たっぷりだ。

 ここで記事は話をすり替え、海底に真空チューブ超高速列車「ハイパーループ」を採用すれば時速1000キロは間違いなく超えるはずだと指摘。寧波市と舟山市を結ぶ海底トンネルは真空チューブとは何の関係もないが、「この技術を使えば将来的には煙台から大連まではわずか12分、福州から台湾の台北までは13分、アモイから台湾の高雄までは20分で移動することが可能になる」と主張している。さらには「上海から東京までも2時間で到着できるようになる」と壮大な想像上の計画を紹介した。そうなると「飛行機よりも速い」乗り物になると夢を語っている。

 しかも、記事によると真空チューブ高速列車はリニア技術を使うので環境に優しく、騒音も抑えられ、建設費用も高速鉄道の5分の1で済み、土地収用問題も発生しないなど、利点ばかりだと主張。はたから見るとただの夢物語にしか見えないが、「中国はまたインフラ整備で世界を驚かることになるだろう」と締めくくっている。

 真空チューブ高速列車は、各国が研究を進めてはいるものの、現実には克服すべき問題が多く実用化のめどはたっていない。それにもかかわらずまるですでに実現したかのように主張する姿勢には疑問を抱かざるを得ないが、まずは中国初となる海底高速鉄道トンネルをきちんと完成させてもらいたいものである。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)