日本経営管理教育協会が見る中国 第624回 ――磯山隆志

◆緊急事態宣言が解除

 5月25日、4月16日から全都道府県で対象となっていた緊急事態宣言が約1カ月半ぶりに解除された。緊急事態宣言の解除後も東京都では、新規陽性者数、新規陽性者における接触歴等不明率、週単位の陽性者増加比など7つのモニタリング指標から感染拡大の兆候を把握した場合に、都民に警戒を呼び掛ける「東京アラート」が発動されることもあった。しかし、10日ほどで解除となり、19日には休業要請が全面解除となる段階まで来た。新たな感染者数は緊急事態宣言が出される前の3月中旬ごろの水準で推移しており、解除後の3週間で幸いなことに感染の拡大はみられない。

◆新しい生活様式が公表される

 厚生労働省は、5月7日、新型コロナウイルスを想定した新しい生活様式の実践例を公表した。その中では身体的距離の確保、マスクの着用、手洗い、換気などの基本的な対策や生活様式のほか、食事の場面では料理に集中、おしゃべりは控えめにするなど、買い物では電子決済の利用や計画をたてて素早く済ますなどが例示されている。また、働き方の新しいスタイルとしてテレワークやローテーション勤務、会議や名刺交換をオンラインで行うことが例示されている。

 一方、東京都においても新しい日常として同様のマスクの着用、手洗い、ソーシャルディスタンスや買い物、食事での場面の実践例のほか、事業者向けの「東京都感染拡大防止ガイドライン」を公表している。これ以外にも、業種ごとに各関係団体が感染拡大予防ガイドラインを作成している。これに合わせて各事業者も対応を迫られている。

 新しい生活様式や新しい日常はいつまで続くのであろうか。飲食業などでは顧客同士の身体的距離を確保するために、席数の削減や客数の制限などで対応をしている。そうなれば、新しい生活様式が継続する限りにおいて、それ以前の売上高を確保するのは困難といえるだろう。特に新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波も懸念される現状においては、かつての日常を取り戻すことを想像するのは難しい。

 先に新型コロナウイルス感染症が収束したとされる中国では、4月の個人消費は前年割れしているといわれる。消費税増税があり、すでに緊急事態宣言前から景気後退の傾向があった日本でも、消費は回復しても限定的になることも考えられる。人々が新しい生活や日常を過ごす上で、新たな価値の創造が求められる時代に、どのような顧客に支持されるビジネスが生まれるのか注目したい。(写真は、営業再開を知らせるスポーツ施設の看板。提供:日本経営管理教育協会)