中国のポータルサイト・百度に10日、「これが匠の精神、日本の小さな会社が長年にわたりおろし金だけを作り続けてきた」とする記事を掲載した。

 記事は、商業界において最も注目を集めるのは往々にして時代をリードする大企業であるとし、その対極にある小さな企業は、一見平凡でなんの競争力も持っていないように思えるが、その多くがある1つの分野において大企業が敵わないほどの高い技術力を持っており、絶滅するどころかますます活気を帯び、もてはやされているのだと伝えた。

 その例の1つとして、埼玉県にある銅製おろし金を製造、販売する大矢製作所を取り上げ、同製作所が1949年の創業から70年以上にわたり、おろし金製品だけを作り続けていると紹介した。

 記事は、おろし金について、日本の料理には欠かせない道具であり、刺身やすしなど特に衛生面で配慮が必要な料理の薬味として生姜やわさびをすりおろしたり、大根おろしを作ったりする際に活躍すると説明。現在ではその多くが機械で加工されているのに対し、同製作所のおろし金は今なお伝統的な職人の技術によって1つ1つ丁寧に作り上げているとした。

 そして、同製作所の経験豊富な職人が、錫メッキを施した銅板の上にノミで小さな三角形の刃を立たせていく際に、熟練の技術によりあえて刃1つ1つの間隔や角度が微妙に異なるようにしていると紹介。そうすることで素材の向きを変えなくても最後まで細胞をつぶすことなくきれいにおろすことができるのだ、と説明している。

 記事は、同製作所のおろし金と、機械で製造したステンレス製のおろし金でそれぞれ実際に大根をおろした際の出来上がりを写真で比較。機械製のほうは大根おろしから水分がしみ出してしまっており「これでは食材の味にも影響してしまう」とする一方で、同製作所の大根おろしはしばらく時間が経過しても水分がほとんどしみ出さなかったと伝えた。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大でマスク需要がひっ迫するなか、中国ではもともと関係のない業種の企業が商機とばかりにこぞってマスク業界に進出し、競うようにマスクやその材料となる不織布の製造、販売を行ったという。しかしすでに「マスクバブル」は弾け、生産機械を売ろうにももはやガラクタ同然の値段しか付かなくなったとのこと。実際に儲けを出した業者はほんの一部だったようだ。

 目先の利益ばかりを奪い取ろうとして後先考えずに手を出し、同じことを考えた多くの業者が「共倒れ」状態になるというのは中国の商業界ではよく見られることだ。記事が紹介した同製作所は、このような業者とはまさに対極に位置する存在だろう。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)