中国メディア・人民網は5日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言発令中に、毎日弁当を無料で提供した中国料理店の店主の話を紹介する記事を掲載した。

 記事が紹介したのは、遼寧省出身で日本生活22年という李星海さんだ。2013年に自身の中国料理店を開いたとのことで、4月7日に日本政府が緊急事態宣言を発令した際には休業するつもりでいたという。しかし、周囲の常連客から弁当はやらないのかという問い合わせを多くもらい、「がんばっている人たちを励まそう」と考え、同10日より無料で200食弁当の配布を始めたと記事は伝えた。

 そして、この取り組みはたちまち評判となり、200食では足りずに500食、さらには600食を提供するようになったとし、「潤沢にあった食材も底をつき始めたので、日頃付き合いのある食材供給業者などに頼んで滞りなく材料を供給してもらった」と李さんが語ったことを紹介した。

 李さんによれば、毎日弁当を取りに来る人の90%は日本人だったという。長い行列ができる中で一部の人がタバコの吸い殻をポイ捨てするようなことも起きたが、ふと防犯カメラを確認すると別の日本人客が店の前をきれいに掃除してくれているをたまたま見つけ、大いに感動したとのことだ。

 また、「近くで働く人、近隣住民に無料で弁当を届けたい」という当初の目的とは裏腹に、ホームレスや障がい者団体の関係者が弁当を取りに来るようになったそうだが、「この特別な時期に、彼らこそ保障が得られない層だろう」と考え、特に障がい者には優先的に弁当を配布することにしたという。

 李さんの取り組みについて、日中両国のメディアが報じるとともに、日本人から続々と感謝の手紙が寄せられ、お金の寄付や食材の差し入れさえもあった。李さんは「とても大きな励みなった」と語っている。

 無料での弁当配布に、李さんの経済状況を心配する声も少なくない。李さんは、飲食業への補助金と、自身の貯蓄を使って弁当代を賄っていることを明らかにした。5月25日に緊急事態宣言が解除されたのちも「続けて欲しい」との声を受け、6月2日まで無料配布を継続した。

 記事は最後に、李さんが「別に天地がひっくり返るような大それたことはしていない。料理店という立場を通じて、身の回りの人を支援したかった。新型コロナで失業した人もいれば、親しい人を失った人もいる。自分自身の努力を通じて、周囲の人びとに勇気と希望を与えたかった」と語ったことを伝えている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)