日本経営管理教育協会が見る中国 第619回 ――下崎寛

 2020年1月11日に台湾で総選挙が行われ、現職の与党「民主進歩党」の蔡英文氏が約820万票(得票率57%)を獲得して再選を果たした。

 一時は再選が危ぶまれたが、香港の民主化デモの影響により、反中の機運が高まり、1国2制度の反発とともに、市民が反中で団結した結果だといわれている。

 蔡総統は記者会見で、「台湾は世界に対して、我々が自分たちの自由民主主義的な生き方をどれほど大切にし、自分たちの国をどれほど大切にしているかを示している」と述べた。

 ところで、台湾の新型コロナウイルス感染者数の少なさは、群を抜いている。

 台湾の人口は、2019年で約2400万人(日本は約1億2596万人)であり、面積は、日本の九州と同じ程度である。

 2020年4月27日現在で、感染者は429人(日本は、13,182人)であり、死亡者数6人(日本は348人)であるという。

 台湾は、国民背番号制があり、徴兵制度もあることから国民全体の管理が行き届いている。その結果、感染者については、位置、状況等をすべて管理できるようになっており、その対応策は速やかである。日本においても見習いたいものである。

 ところで、台湾政府は、2003年に中国でSARSが発生し、台湾も中国からウイルスを持ち込まれ大変なことになった。そこで、台湾政府としては、中国政府は生物兵器を研究しており、必ず生物兵器で台湾は仕掛けられるとの危惧をもって、その対応策を立てていた。2003年のSARS対策の責任者が当時の蔡英文氏であった。

 また、今年の3月28日には、南米ペルーで新型コロナウイルスの感染拡大により国境封鎖のため足止めされた台湾人の救出のために台湾のチャーター機が派遣された。併せて、台湾の取り計らいで日本人約260人のうち29人が台湾のチャーター機で出国し米国のマイアミに脱出したという。

 この友情あふれる台湾の協力については、頭が下がる思いであるが、日本では、台湾に対する報道規制のようなものがあり、マスコミはほとんど報道しなかった。なんと失礼なことであろうか。

 私は、数年前に中国福建省の目と鼻の先にある金門島へ行ってきた。金門島では中国福建省側に面する海岸には、上陸艇が侵入できないように多数の杭が打たれている。中国政府を信用せず、自主防衛の精神の気構えが強い。

 翻って我が日本を考えてみるに、マスコミ及び野党は、政府の批判をするだけで、何のコロナ対策の提案もせず、自分のことしか考えない。自分ファーストではなく国民ファーストであろう。

 このコロナ禍を機転として、台湾を見習い、自主防衛を意識して日本の危機管理を再考すべきである。(写真は、金門島海岸線。提供:日本経営管理教育協会)