新型コロナウイルスの感染者が増え続ける一方で、中国や欧米諸国のように街を完全封鎖するロックダウンを実施しない日本のやり方は、中国をはじめとする各国から見れば「生ぬるい」という印象なのかもしれない。しかし、日本でロックダウンを実施するには種々の大きな壁が存在するのだ。

 中国メディア・東方網は24日、日本政府が新型ウイルス対策で「温柔」な姿勢を取り続けている背景について論じた文章を掲載した。

 文章は、日本では日々感染が拡大し、医療崩壊の危機が取り沙汰されるなかで、安倍晋三首相がようやく4月中旬に全国に対して緊急事態宣言を出したと紹介。一方で、「緊急事態」でありながらその措置には大きな強制力や執行力がなく、日本国民の自覚に任せているような状況が続いており、その根本的な理由として「現在日本にはロックダウンを行うための法的な根拠が何もないのだ」と指摘した。

 そのうえで、ロックダウンを行う法的根拠がない背景には敗戦の苦い経験があると説明。軍国主義への深い反省から「平和主義」、「主権在民」、「基本的人権」を掲げる平和憲法を制定し、数十年の歳月によりこの3原則が国民の心に深く刻み込まれている現在の日本において、仮にロックダウンを発動して国民の私権が大きく制限されれば大きな反発が生じかねないという懸念があるとした。そして、現行法の範囲内で措置を講じることで国民の私権を極力制限しないようにするという「安全策」が取られているのだと解説している。

 また、法的根拠がないことに加えて、経済の低迷も日本政府がロックダウンに踏み切れないもう1つの理由だと紹介。消費税増税や台風の被害で昨年第4四半期のGDPが大きなマイナス成長となるなかで経済回復の起爆剤として大いに期待されていた東京五輪が新型ウイルスの影響で延期となったことで、日本経済は更なる打撃を受けることになったとし、この状況でロックダウンを行なえば日本経済はさらに窮地に立たされると伝えた。

 文章は、国によってそれぞれ国情が異なり、国情に基づきそれぞれ異なるウイルス対策を講じること自体は決して非難されるべきことではないとし、世界一流と言われる日本の医療技術や設備、さらに日本人の団結心、自律性があればある程度ウイルス感染は抑えられるだろうとの見方を示す一方で「未曾有の世界的な公衆衛生の危機に直面するなかで、国民の自覚に頼り切る日本政府のやり方には、いささかの憂慮を禁じ得ない」と結んだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)