日本経営管理教育協会が見る中国 第616回 ――磯山隆志

◆緊急事態宣言発令後の状況

 安倍首相が東京都をはじめとする7都府県に、4月7日から5月6日までを効力とする、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令してから2週間が経過した。4月7日時点で、クルーズ船を除く新型コロナウイルスの国内の感染者は4,458名であったのが10,000名を超えるまでになり、東京都の感染者も1,194名だったのが3,000名を超えた。国内で新型コロナウイルスに関連して死亡した方も80名から200名を超えるまでになった。感染の拡大により、4月16日には緊急事態宣言の対象は日本全国に拡大された。

 緊急事態宣言により、東京都では緊急事態措置として、都民に対しては不要不急の外出の自粛、事業者に対しては床面積の合計が1,000㎡を超える生活必需品の小売や生活に必要なサービス業を営む商業施設などの使用停止や催物の停止を要請した。1,000㎡以下の施設に対しても停止への協力を依頼、100㎡以下の施設については適切な感染防止対策をした上での営業を依頼した。東京以外の各県においても、それぞれ事業者に休業への協力を要請しているところがある。

 これらの要請を受けて、百貨店は食料品以外のフロアが臨時休業となり、繁華街の人通りは減少した。中小企業においても26%がテレワークを実施しているとされる。飲食店でも休業する店がある一方、営業を続ける店も密閉、密集、密接のいわゆる三密の回避や消毒、営業時間の短縮などの対応を迫られている。

◆厳しさを増す事業環境と急がれる対策

 東京都では、休業要請や営業時間の短縮に協力した事業者に対する協力金の支給や、中小企業への資金繰りの拡充など約8,000億円規模の緊急対策を発表した。各自治体も独自の経済対策を発表している。日本政府においても前年同月比で50%以上売り上げが減少している資本金10億円未満の中堅・中小企業に最大で200万円、個人事業主に最大で100万円の給付金など、総額108兆円規模の経済対策を決定した。

 しかし、世界の新型コロナウイルス感染者が200万人を超え、IMFの理事が1930年代の世界恐慌以来の景気後退になるとの見方を示し、中国の第一四半期のGDPが初めてマイナス成長になるなど世界経済は不確実性を増している。国内でも健康面においても経済的にも不安が広がっている。外出の自粛に加え、3月の訪日外国人旅行者は93%の減少となり、厳しい状況に追い込まれる事業者も少なくない。特に、すでに大きく売り上げが落ち込んでいる事業者は、今すぐ支援を必要としていることだろう。

 新型コロナウイルスの症例が世界で初めて確認されたといわれる中国の武漢では、今年の1月23日から続いていた都市封鎖が4月8日、約2カ月半ぶりに解除された。日本の緊急事態宣言は5月6日までだが、感染の封じ込めはできるだろうか。2週間が過ぎ、その効果が表れるか注目される。今までの災害と異なり、日本全国で生活の先が見えない不安感に苛まれている。対立よりも協力が問われる中で、いかに早く困窮する事業者に支援を届けられるかが求められている。国難と評される状況下において、適時に適切な経済対策を期待したい。(写真は、臨時休館のスポーツ施設。提供:日本経営管理教育協会)