日本経営管理教育協会が見る中国 第615回 ――水野隆張

 コロナウイルス感染拡大は止まるどころか先進国を中心に拡大を続けており全世界で感染者は177万人を超え、死者は10万人以上となっている。中でも感染者が急増しているのが米国で感染者は55万人を超え、死者は2万人以上となっている。このことからアメリカと中国はコロナウイルス感染拡大をめぐり、互いに非難を強めるに至っている。

◆新型コロナウイルスを巡って米中が非難の応酬

 中国外務省の趙立堅報道官は3月12日、新型コロナウイルスについて「アメリカ軍が中国に持ち込んだものかもしれない」とツイッターに投稿した。これに強く反発したトランプ大統領は新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼び始めたのである。更に19日の会見では「感染拡大がもっと早くわかれば、中国の発生地の1カ所で感染を封じ込められたかもしれない。中国が事態を公表しなかったため、世界はいま大きな代償を払っている」と中国を批判した。

 トランプ政権は新型コロナウイルスについて、当初楽観的な姿勢を示していたが、国内で感染が急速に広がり、経済や市民生活への影響が大きくなる中、いらだちを強めているものと思われる。これに対して、中国は「ウイルスの発生源は特定されていない」という立場をとっていて、各国に医療物資を提供したり医療チームを派遣したりして”支援国”としての姿勢をアピールしている。

◆崔天凱アメリカ中国大使の「米中は同じ船に乗っている」というインタビュー発言

 3月17日崔大使が米メディアAXIOSとHBOの共同インタビューでの提案発言が世界の与論におおきな影響を及ぼした。

 その発言とは「私たち(米中を指す)が同じ船に乗っていることを強調したいのです。私たちはグローバル範囲での公衆衛生の課題に直面しています。私たちがウイルスと戦い、経済活動を普段通りに回復し、世界経済に対する人々の信頼を回復し、他の国同様の危機に対応する能力を養うために協力する必要があります。私たちには共通の関心事があり、人類が共有する未来のコミュニティーの一部として、より良い未来を一緒に構築する必要があります。これは私がアメリカの人々と政府に言いたいことです。行動しましょう。」

 この提案に対して多く世界の有識者から賛同の意見が数多く寄せられた。米中対立は最後に突然緩和ムードに切り替わった。世界中の人々を心配させたこの米中対立は、3月16日から3月24日まで9日間も続いた。ところが、緊張状態がエスカレートする中で、この対立は突然緩和ムードに切り替わり、米中は互いに歩み寄る姿勢を見せ始めた。

 このようなあまりにもドラスティックな変化に、人々は大いに驚いた。同時に、胸を撫でおろしたのである。トランプ大統領は「中国ウイルス」ではなく世界保健機構の公式名である「COVIDー19」を使って、ツイートをおこなうようになったのである。同時に新型コロナウイルスに絡むアジア系米国人への中傷が相次いでいることに対してこれを改めるよう訴えたということである。(写真は、中国人民大会堂。提供:日本経営管理教育協会)