日本経営管理教育協会がみる中国 第609回 ――楠田貴康

(1)IoTデバイスの急速な普及

 世界中の様々なものがネットワークにつながるようになっている。従来のインターネット接続端末のパソコンやスマートフォンなどに加えて、家電や自動車、ビルや工場などまでつながるようになってきた。世界のIoTデバイス数の動向をカテゴリ別にみると、2018年時点で稼動数が多いカテゴリは、スマートフォンや通信機器などの「通信」となっている。但し、既に市場が飽和状態であることから 2019年以後は相対的に低成長が見込まれている。

 2019年以後、高成長が予測されているのは、コネクテッドカーの普及による「自動車・輸送機器」、デジタル ヘルスケア市場の「医療」、スマート工場やスマートシティが拡大する「産業用途(工場、インフラ、物流)」で高成長が見込まれている。

(2)全国のIoT展示会に目を向けると

 2012年開催されたIoT/M2M展がもっとも古く、その後東京を中心として開催されている。当初の特色は、IoT/M2Mシステムを構築するための無線通信技術、センサーやさまざまなアプリケーションが一堂に結集する専門展としていた。その後、関西地区では、2016年にIoT Technology Westが、2017年には東京で開催されていたIoT/M2M展が関西で最初に開催された。特色は、IoT/M2Mシステムを構築するための無線通信技術、センサーをはじめ、遠隔監視、生産管理などのアプリケーション、AIを活用したデータ分析など様々なソリューションが一堂に結集する専門展と変わってきている。5年の間に遠隔監視、生産管理、AI活用したデータ分析という内容が付け加わっている。

(3)国内IoT等活用状況の概観

 わが国のIoTの活用状況を概観すると、IoTを利用する側の企業は20.6%にとどまっている。また、日本工作機械工業会が2018年に機械ユーザーに調査したところ、9割がIoTに興味を持っていた。但し、実際に導入している企業は約3割にとどまったという情報もある。実質国内IoT活用状況は、2~3割であると考えられる。IoTを利用する側の企業は、導入メリットとコストに課題があるとしている。先端技術(IoT、ビッグ データ、AIなど)の提供側と利用側での活用目的を見ると提供側では、既存事業の規模拡大や付加価値の付与、新製品・サービスの開発が多くみられる。一方、利用側では、業務効率の向上やコストの削減を挙げる割合が高くなっている。IoTを利用する側の利用目的が、直接IoTを導入することへの課題とつながっていることが確認できる。利用側で付加価値創出につながる利用を促進してい くことが重要となると考えられる。

 市場が成長するなかで、技術は先行しており、それを生かしたいと考えている方は多い。活用状況は、2~3割とまだ少ない。これはIoTの活用目的が、提供側と利用側で異なるところにも理由がありそうである。(写真は、汎用的なIOTキット。提供:日本経営管理教育協会)