日本経営管理教育協会が見る中国 第608回 ――磯山隆志

◆新型コロナウイルスの影響が拡大

 新型コロナウイルスに関連した肺炎の発生が、昨年12月に中国湖北省武漢市で報告されて以来、世界各地で同様の報告が相次いでいる。連日、テレビ、新聞などでも新型コロナウイルス関連の報道がなされ、中国では感染者は7万人を越える勢いで増加し、亡くなった方は2,000人を超えているとされる。中国以外で感染が確認された国と地域も増加している。

 日本国内においても感染者数が拡大している。1月中旬に初めて日本で感染者が報告されてから、確認された国内の感染者は東京都をはじめ北海道から沖縄県まで各地で100人を超えたとされ、1人が亡くなった。中には感染経路のわからない人も相次いで報告され、不安が広がっている。もうどこで感染が起きてもおかしくないと指摘する専門家もいる。

◆経済への影響

 世界経済において中国の存在感が高まっている中、新型コロナウイルスの感染拡大は世界の経済や企業にも影響を及ぼしはじめている。スペインでは国際的な携帯電話や通信機器の展示会、アメリカではフェイスブックが予定したイベントを中止とした。

 日本においても、日産自動車は中国での部品調達に支障が出る見通しから国内工場を2日間停止することを発表した。また、サンリオはピューロランドの営業を3月12日まで臨時休館とした。イベントの中止や延期も相次ぎ、100人以上が集まる大きなイベントだけでなく、地域の小さなイベントでも中止となっている。東京マラソンでは一般参加が中止となり、アイドルグループ「嵐」の北京公演も中止となった。

 外国人観光客が日本への旅行を避ける動きに加えて、人込みを避けるため日本人観光客が国内旅行を控える動きも出始めているといわれ、観光産業への影響も懸念が高まっている。

◆政府や企業が対策を急ぐ

 新型コロナウイルスが日本経済に与える影響に対して、日本政府や企業も対策を急いでいる。経済産業省では、日本政策金融公庫、信用保証協会、商工会議所、中小企業基盤整備機構などで新型コロナウイルスにより影響を受ける中小企業の経営相談窓口を設置した。資金面でも観光業等の中小企業・小規模事業者への対策として、日本政策金融公庫に5,000億円の緊急貸付・保証枠を確保し、資金繰りを支援するなど緊急対応を進めている。企業においても時差出勤やテレワークを推進する動きがある。

 10-12月期のGDPは、年率換算でマイナス6.3%と5四半期ぶりのマイナス成長となった。消費税増税などにより国内景気の先行き不透明感がある中で、新型コロナウイルスの感染拡大が景気に与える影響を懸念する声も聞かれる。特に中小企業や小規模企業への影響は大きくなると想定される。今後も迅速に追加の経済対策が打たれることが期待される。(写真は、対策を最終的に決める国会。提供:日本経営管理教育協会)