中国では今、「山川異域 風月同天」という漢詩の一部が話題となっている。別の場所に暮らしていても、自然の風物はつながっているという意味で、中国語検定試験「HSK」の日本事務局から中国への支援物資の箱に書かれていたものだが、中国では日本の支援に感謝するとともに、日本人のほうが中国文化に造詣が深いことに衝撃を受ける人が後を絶たないようだ。中国メディアの今日頭条は12日、「日本が教えてくれたこと」と題し、中国の伝統文化を見直してみるようすすめる記事を掲載した。

 日本からの支援物資には、他にも中国の漢詩などを引用したメッセージが見られている。富山県から遼寧省に送られた箱には、「遼河雪融、富山花開。同気連枝、共盼春来」(遼河の雪が融ければ富山の花が開く。同じ気でつながる枝同士、ともに春の到来を待つ)とのメッセージが送られたが、これは千字文をアレンジしたものである。京都府舞鶴市から遼寧・大連市へと送られた支援物資の箱には、場所は離れていても心は一つという意味の「青山一道同雲雨、明月何曾是両郷」という漢文が書かれていた。

 こうした漢文・漢詩は言うまでもなく中国から日本に入ってきたものだが、日本人の方から漢詩を引用してメッセージを送ってきたことを、中国人は大変驚いているようだ。中国国内でも、武漢に対する応援メッセージがネット上などで届けられているが、その多くは「武漢加油」(武漢頑張れ)という単純な一言にとどまっている。

 無論、どちらも「応援しよう」という気持ちに変わりはないが、では中国の伝統文化を活用している日本との格差を目にして、中国人はどう反応すればよいのだろう。記事は、「自虐に走ることはないが、日本から学ぶべきことは学ぶ」ように勧めている。「文化は愛でるものではなく使うもの」だと指摘し、日本との格差を認めつつ、中国のソフトパワーに変えることは可能だと前向きな姿勢を見せている。記事は結びに、改めて日本の親切に感謝しつつ、中国の伝統文化の良さに気づかせてくれたことにも感謝を伝えている。

 今回の中国人を驚かせた、支援物資に見られたメッセージの数々は、日中を問わず中国の文化の良さを改めて再確認させてくれたのではないだろうか。中国に起源をもつ漢文・漢詩に力を得て、新型ウイルスという困難に立ち向かってほしいものである。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)