日本経営管理教育協会がみる中国 第596回 ――永野剛

 2019年11月2日(土)~3日(日)。3年ぶりに和僑アジア大会が上海で開催された。

 “和僑会”についてはコラム第589回で説明させていただいたので、詳細はそちらをご覧いただければ幸いである。

 アジア各地にある和僑会メンバーが一堂に集結した。参加者地域は、東京、北京、上海、香港、深セン、東莞、シンガポール、ヤンゴン(ミャンマー)の8都市の和僑会。3年ぶりという事もあり、私自身も懐かしい顔に多くお会いすることが出来、同窓会のような雰囲気であった。

 初日の11月2日(土)は代表者会議と、夜はウェルカム交流会が行われた。代表者会議は毎回、和僑会の組織としての方向性や課題を話し合う場で、会長や主要メンバーが集いこれまで毎年開催されていた。各々の都市の環境や制度や言葉も異なる地から一堂に会する機会は、メンバーと話し合うだけでそれぞれの都市の一次情報を知ることが出来る贅沢な時間だ。参加者同士がそれぞれ描く和僑への強い想いが交わされ、3年の年月を感じさせない様子は、一人一人の“和僑会”への愛で溢れているようにも見えた。

 二日目は、中国関連で今注目の4名の方(奇点自動車創業者の沈海寅さん、ドキュメンタリー監督の竹内亮さん、トレンドエクスプレス代表取締役社長の濱野智成さん、ジャーナリストの周来友さん)による素晴らしい内容のご講演を頂き、参加者大満足の内容であった。当局からの前日の会場変更なども上海和僑会の素晴らしい調整力で難なく乗り切ったが、本業の傍らご準備いただき感謝と敬意をこの場を借りて申し上げたい。
 夜には和僑大交流会&ライブとして、ロックバンド“爆風スランプ”のサンプラザ中野くん&パッパラー河合さんによるライブも大きな盛り上がりを見せた。

◆在日本和僑会の存在意義について

 海外の和僑会と日本にいる個人を繋ぐハブのような存在であると私は考えている。日本の和僑会の立ち位置と存在意義について今回も議論があったが、東京和僑会のビジョンは明確に2つある。1.国際社会で通用する日本人「和僑」の育成。2.国際社会で生き残る「和僑ネットワーク」の形成。である。分かりやすく言えば、日本に海外の和僑会への窓口となる和僑会があるからこそ、一括してコテコテの日本文化が染みついた会員や社会に対して各地のまとまった情報を発信することが可能ということだ。海外進出を目指す日本の起業家や経営者に、世界の和僑会を紹介し、海外の和僑会と日本企業を繋ぐ橋渡し役が東京和僑会の主なこれまでのミッションであった。

◆これからの役割

 新たな役割を提起するならば、“境界なき世界における日本社会の常識と、海外の常識のズレを相互の環境に合わせて補正すること”ではないかと思う。海外進出支援における和僑会の位置づけとして、マクロ経済はジェトロ(日本貿易振興機構)、ミクロ経済は和僑会に強みがある。経営者を中心に構成されている和僑会では、当該都市で流行している地場のトレンド情報などは、和僑会が圧倒的に強い。なぜならメンバーそれぞれが第一線の当事者として日々活動しているからに他ならない。昔、海外のジェトロを訪問した際、担当者が「リアルな現地情報については和僑会に聞いてみると良い」とお話されていた記憶があり、和僑会は日本人社会において一定のブランドとして一部では認知されている。日本の和僑会として、他団体に無い独自性を前面に、シンポジウムなど各種イベントを実施するのが“役割”だと思っている。

 次の開催地は半年後の2020年4月にシンガポールで代表者会議が開催される予定である。今回のアジア大会では、和僑会が次のステップへ再起を図るための大きな一歩であったと確信している。(写真は、第9回和僑アジア大会in上海の集合写真。提供:日本経営管理教育協会)