日本経営管理教育協会がみる中国 第595回 ――下崎寛

 毎年実施されている日中韓テレビ制作フォーラムが10月29日~11月2日に中国貴州省興義市開催された。今年で19回になる。

 このフォーラムは、日本、中国、韓国のテレビ関係者が、毎年、前年放映された番組の内、ドラマ部門、ドキュメンタリー部門、バラエティ部門の3部門で優秀な番組を選定し、その番組を作成したプロデューサー等を招いて、番組の内容、構成、技術、撮影等を批評する会である。スタートは、NHKやTBSで活躍したプロデューサー大山勝美氏(『知らない同志』『岸辺のアルバム』『想い出づくり』『ふぞろいの林檎たち』を手がけ“ドラマのTBS”の全盛期を支えた人物)が創設して、各国が持ち回りで開催されている。

 今年のフォーラムのテーマは「多彩・多元・アジア文明の多様性」である。

 テーマにあるように、各国では、多様な文化があるが、現在都市化とともにその文化が壊れかかっており、その多様な文化を守るためには、テレビ関係者がその文化を掘り起こし、大切に次の時代に継承する義務があるとの必要性から今年テーマにされた。

 各国の提供番組以下のとおりである。

・ドラマ部門:日本側「チャンネルはそのまま」、中国側「砕氷行動」、韓国側「私の後ろにテリウス」

・バラエティ部門:日本側「コッコデショ平成最後の宝船」、中国側「中国詩歌大会」、韓国側「こんにちは」

・ドキュメンタリー部門:日本側「移住50年目の乗船名簿」、中国側「粤劇の香り」、韓国側「どこでも存在しましたはどこでも見つけないジョン、氏闘と竜賢」

 各国の番組を見てみると、文化慣習が色濃く出ており、日中韓の民族の多様性の違いがわかる。

 中国では、現在56の少数民族がおり、その民族が独自の文化慣習を持ち、伝承されているという。今回は、広東省で有名な粤劇の伝承の苦悩を表現しており、粤劇の有名なスターの幼少期から現在までの成長過程を若いディレクターが苦心して作成している。ここでは、中国の少子高齢化が背景として問題視されている。

 韓国では、学生運動家の活動後の生活と病気で入院するまでの人生の光と影を追求する番組であった。現在の韓国では、経済発展のテンポが早く、その歪みが過食の大学生や離婚の増加等により市民生活に色濃く影響がでている。

 日本では、長崎の「コッコデショ」という神輿の祭りを準備から祭りの一部始終の苦労を番組としたものである。日本の神輿は、神社の神様に奉納することを目的とするものであるのに対して、中国、韓国では神様ではなく民族の風習を伝承することに違いがある。

 このように、民放の番組を通して、日中韓の文化慣習、社会生活の問題点等が比較検証できることは有意義なフォーラムである。今後是非とも国是の縛りを外し日中韓で番組を自由に交換放映してもらいたいものだ。(写真は、貴州省興義市シンポジウム。提供:日本経営管理教育協会)