日本経営管理教育協会がみる中国 第594回 ――宮本邦夫

 事務機総合メーカーのリコーが、先日中国向けの経営戦略を発表した。多くの日本企業が中国から撤退しているなかで、向後3年間で現在の600億円の年間売り上げを70%増の1000億円にするということで、注目を浴びている。しかも、主力製品である事務機器ではなく、その60%は新規事業が占めるという。以下でリコーの中国戦略について考察してみたい。

◇社内の頭脳を結集してタスクフォースを立ち上げ

 リコーがこれから展開する対中国の経営戦略は、従来の年間売り上げに相当する新規事業で賄うようになっているが、そのために「中国総合戦略タスクフォース」を立ち上げたという。この組織は、その名が示すように、中国で展開する戦略について総合的に活動する特別機動隊のことである。そのメンバーは、社内の生え抜きの人材が選ばれたものと推察する。しかし、社内の優れた頭脳を集めたと言っても、それが自動的に機能するとは限らない。各人が有している能力をフルに発揮でき、成果を上げていくためには、どのような仕組み、とりわけどのような協力体制にするかをよく考えてほしいものである。

◇多角化戦略の展開で必要なこと

 リコーが今回打ち出した経営戦力は、戦略の種類から言えば、多角化戦略である。多角化戦略の中でも、従来の技術・市場と関連性のない多角化戦略をとる場合には、多くのリスクを伴い、初期の目的・目標が達成できないことが少なくない。したがって、いかにリスクを少なくし成果を上げるかに知恵を絞らなければならない。この場合、大切なことは、社内の人材だけでは、十分な知恵が出せないと判断されたら、思い切って経営コンサルタンクなどの外部機能を活用することである。外部機能は、国内の人材だけではなく、中国の人材の採用も検討すべきである。

◇中国企業との提携・協力を積極的に推進

 中国での事業運営の成否は、中国企業との提携・協力いかんにかかっているとよく言われる。確かに、単独で新規事業の運営を行う場合には、手探り状態で事を運ばなければならないので、リスクを伴うし、失敗することも多い。こうしたリスク・失敗を回避するため、新規事業を行う場合には、信用・信頼ができる中国企業をパートナーとして選び、連携・協力体制をとっていくことである。リコーは、すでに再生可能エネルギーの新興企業と組んで中国での太陽光発電の保守事業を始めるそうだが、今後ともこのような中国企業との提携・協力を積極的に推進していくべきである。(写真は、銀座4丁目の丸ビル。提供:日本経営管理教育協会)