日本経営管理教育協会がみる中国 第593回 ――磯山隆志

◆ブロックチェーン技術とは

 ブロックチェーン技術は、総務省の情報通信白書平成30年度版によれば、「情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種であり、「ビットコイン」等の仮想通貨に用いられている基盤技術である」とされる。

 記録されたデータの改ざんが不可能とされるほど困難な仕組みとなっているため信頼性が高いことや、分散的に取引が記録されるため集中的に記録するよりも停止する可能性が低く、また低コストで構築・運用できることが特徴となっている。

◆習近平国家主席がブロックチェーンを推進する発言

 10月25日、新華社通信は、習近平国家主席が、24日に開かれた中国共産党中央委員会政治局のブロックチェーン技術に関する研究会で発言したことを報じた。そのなかでは、ブロックチェーン技術が様々な分野において活用が広がっており、主要各国で開発が進んでいるとして、基礎研究を強化し、この分野での主導権を握り、優位性を獲得する必要性を強調したとされる。また、ブロックチェーンとAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などとの技術の統合を促進することや人材育成も強化するという。この習近平主席の発言によりビットコインの価格が高騰したともいわれる。

◆暗号化法成立

 さらに、翌日の10月26日には全国人民代表大会の常任委員会において、暗号法が可決したとの報道があった。暗号法は、暗号分野の基本的な法律として、暗号技術のビジネス促進や情報セキュリティの確保などを目的としているとされ、2020年1月から施行されるという。この法律は前日の習近平主席が発言したブロックチェーン技術の研究・開発を促進するものと見られている。

◆今後の行方

 このような中国でブロックチェーン技術を推進する動きによって、デジタル人民元が発行されることを確実視する向きが多くなっている。10月28日には中国国際経済交流センターの黄奇帆副理事長が、中国人民銀行によるデジタル通貨発行の可能性に言及したとの報道があった。デジタル通貨をめぐってはアメリカのFacebookが発行を目指すリブラが話題となっているが、多くの国が懸念を示すなどして先送りとなった。デジタル人民元が世界で初めて中央銀行が発行するデジタル通貨となれば、各国に先がける事例となり、これに続く国もあるだろう。まもなく、デジタル通貨が中心となる時代が到来するのか、そして、その時代に中心となる通貨は何になるのか目が離せない。(写真は、現金が消えるのか海南島のスーパー。提供:日本経営管理教育協会)