日本経営管理教育協会がみる中国 第592回 ――水野隆張

◆日中両国政府は習近平国家主席の来日時に「第五の政治文書」の作成準備を始めた

 本日の日経新聞一面には日中両政府は2020年春の習近平国家主席の来日にあわせ、新しい両国関係を定義する「第五の政治文書」をつくる検討に入ったと報道している。米中対立の長期化で中国が日本に接近する力学が働いているようである。一方では10月25日、ペンス副大統領がワシントンにあるシンクタンクの一つ、ウィルソンセンターで「米中関係の将来」と題して中国に対する厳しい批判を述べており米中対立は依然として長期化の様相を呈している。

◆ペンス米副大統領の対中批判演説

 ペンス副大統領の演説では、「過去17年間の間に中国のGDPは9倍にも膨れ上がっており、これはアメリカの投資が可能ならしめたものだ」としたうえで「アメリカは二度と経済的接触という手段のみに頼って共産主義国家・中国を自由な西側諸国の価値観に基づく国家に転換するという望み持つことはない。それどころか逆に、トランプ大統領が2017年の国家安全戦略で述べたように、今やアメリカは中国を安全戦略と経済上の競争相手とみなしている。多くの専門家が、中国が短期間内にアメリカ経済を凌駕すると予想しているが、トランプ大統領の大胆な経済政策により全ては変化していくだろう」と明言している。

◆ペンス副大統領演説に対する中国政府の反論

 中国はこのペンス副大統領の演説に対して次のように反論している。「中国の対外政策は正々堂々としており、中国は人類運命共同体を構築しようとしている。中国は絶対に他国の利益を犠牲にさせて自国の発展を達成しようとは思っていないし、他国を威嚇しながら発展するような真似もしていない。世界は中国の友人ばかりだ。ペンス流の、他国に対して四の五のとケチをつけるやり方や、あの偉そうな態度は、逆にアメリカ自身が抱える様々な厳しい現状には目をつぶり、他国を侮辱することにより自国民のアメリカ政府に対する不満を他国に転嫁させることによってアメリカ政治の欠陥から目を背けさせようという目論見を露呈している」と激しく反論しており、デマを飛ばして侮辱することは、まさに内政干渉以外の何物でもないと断言している。

◆安倍首相の賢明な外交手腕に期待するところである

 このような激しい米中対立の最中に安倍晋三首相は12月下旬に訪中を予定している。日本の外交は飽くまでも日米同盟が基軸である。米中摩擦の最中で日中関係を先行して進展させれば、内容や表現によっては米国の不興を買う可能性がある。しかしながら、過去において対立していた米中両国が一気に接近し、日本が取り残された事例もある。それは、1972年にニクソン大統領が訪中し、国交正常化道筋をつけた事例である。この際、安倍首相がトランプ大統領との個人的な信頼関係を踏まえて賢明な外交手腕を発揮されることに期待するところである。(写真は、国会議事堂。提供:日本経営管理教育協会)