日本経営管理教育協会がみる中国 第588回 ――下崎寛

 2019年9月5日に私が会長をしている日本経営管理教育協会と北京健康城市建設促進会(北京市の外郭団体)との北京シンポジウムを行った。

 毎年恒例となっており、この会合の結果は、北京市に上程されている有意義なシンポジウムである。テーマは、北京市と東京都における健康都市建設のため環境、医療、介護等のテーマに基づき北京側と日本側との担当者による発表を行うこととしている。今年は「中国、日本の医療について」であった。特に今年においては、日本側のテーマとして、「何故日本の寿命は長いのか」が副題として課された。

 日本側の発表者の具体的テーマは、(1)医療体制の量的国際比較、(2)医療体制の質的国際比較、(3)日本の長寿政策となっている。中国側の発表者のテーマは、(1)北京の養老施設の紹介、(2)社会科学的健康度測定となっている。

 中国では、現在14億人の人口の内、高齢者人口は2億人を突破して総人口の15%程度を占めるといわれている。日本や欧米諸国が高齢社会(総人口に占める65歳以上の人口が14%以上の状態)に達するまでには50年くらいかかっていたのが、中国では、1人っ子政策もあり、20年くらいで高齢化社会を迎えるといわれている。

 日本においては、現在高齢者率(総人口に対して65歳以上の人口が占める割合)は26%になっており、超高齢化社会といわれ、今後少子化が見込まれていることから、その割合が急速に増加することとなっている。

 国民の平均的生活水準が高くなった状態で高齢化社会を迎えるのが理想であるが、中国では、国民の平均的生活水準が低いにもかかわらず、高齢化社会を迎えるという世界的に例のない「未福先老」現象となる。

 中国では、現代の高齢者社会を、俗に「421社会」という。すなわち「1人の子供と2人夫婦、4人の老人」で家族が構成されており、1人の子供が両親と祖父母の面倒を見ることとなり、家庭内での老人介護は費用に厳しい状況にある。

 日本では、国民総保険制度があり、介護保険制度が充実しているが、中国では介護保険制度がなく、高齢者の介護サービスが日本のように発達しておらず、急速な高齢化が進む一方、核家族や出稼ぎ等により家庭内の介護が低下しており、社会保険制度も遅れており公的サービスの供給も追いついていないという高齢者介護の問題は大きな問題となっている。

 そこで、中国では介護の先進国である日本を見習おうとする傾向にあり、大学、民間研究機関での調査研究が盛んとなっている。基本は、介護制度の確立と介護人材育成がポイントとなろう。(写真は、北京会議の様子。提供:日本経営管理教育協会)