日本経営管理教育協会が見る中国 第587回 ――宮本邦夫

 髙島屋は、先ごろいったん決めた上海髙島屋店の閉店を撤回し、引き続き営業していくことを発表した。上海髙島屋店は、2012年に進出したが、苦戦続きであったという。今年になって家主から家賃の値上げを求められて店の閉店を決めたが、家主が家賃軽減に応じたこと、上海市が支援を申し出たことなどによって閉店を撤回し営業を継続することにしたというわけである。

◇7年間の苦戦の要因を徹底的に分析

 上海髙島屋店は、開業以来7年間、苦戦が続いたということであるが、今後営業を継続していくためには、この7年間の苦戦の要因を徹底的に分析し、問題点を明らかにして解決策すなわち今後の戦略・戦術を打ち出していくことが肝心である。苦戦の要因の1つとして中国で進展が著しいネット通販の存在が指摘されるだろうが、そうした外的要因だけでなく、自店の商品戦略などの内的要因についても細部にわたって分析することが必要である。特に、自店の顧客について、どのような所得階層なのか、店へのロイヤルティ(忠誠度)はどうか、など顧客分析も細かく行うことである。

◇上海髙島屋店ならではの商品・サービスの提供

 過去の苦戦の要因を分析して、その対応策として今後の戦略・戦術を考えていくことになるが、同じ業態の競合店と対抗していくためには、上海髙島屋店ならではの商品・サービスを提供していくことをコアに据えなければならない。昨年9月に新装開店した東京・日本橋の髙島屋本店では、「より豊かな毎日を、日本橋髙島屋S.C.とともに」というスローガンを掲げて営業活動を展開している。上海髙島屋店においても、上海市民が「より豊かな毎日」を送れるようにするために、上海髙島屋店として何ができるのか、つまり上海髙島屋店ならではの商品・サービスを提供していく手段・方法をよく考えることである。

◇上海市の支援内容について具体的に要請する

 上海髙島屋店が閉店を撤回した理由の1つは、上海市が支援することを約束したことが挙げられる。上海市がどのような支援をするかは、今後の話し合いに待つことになるが、話し合いに臨む際は、何を支援してほしいのか、支援内容を具体的に指摘することである。このような場合の交渉では、日本的には、相手の察しや忖度に期待する傾向が強いわけであるが、中国では、察しや忖度は、通じないと思ったほうがよい。米中貿易戦争が本格化して以来、急遽中国から撤退する企業が続出している中で、営業継続を決めた上海髙島屋店に対して、「がんばれ!」と心底からエールを送りたい。(写真は、高島屋本店。提供:日本経営管理教育協会)