かつては女性が大半を占めていた看護師の職場にも、男性看護師が増えている。厚生労働省が公表した2016年の衛生行政報告例結果の概要によると、2016年末時点で就業していた看護師は114万9397人、うち男性看護師は8万4193人、女性看護師は106万5204人。男性は全体の1割未満だが、男性看護師の数はここ10年で倍以上に増えている。

 この傾向は中国でも同様で、これまで女性が主流だった看護師の仕事に就く男性が増え始めている。中国メディアの中国新聞網は9月29日、男性看護師にスポットを当てた記事を掲載し、広州中医薬大学で育成する「武芸」に秀でた男性看護師を紹介した。彼らは日本でも一般的な西洋医学に基づく手術の看護師業務だけでなく、さらに「強化版」となる術後における中国医学に基づく看護ケア技能も備えているという。

 記事は、中国の新学期にあたる今年9月、広州中医薬大学の看護学部では多くの女子学生の中で新入生のイケメン男子たちが一際目を引いたと伝えた。看護関係の仕事をする親戚の男性から「就職状況がいい」と聞き看護を第一志望にした男子新入生もいる。今年の新入生202名のうち、56名が男性だった。2016年はたった18名だったというからその急増ぶりは顕著だ。

 同大学の男性看護師は西洋医学の臨床看護に精通するだけでなく、鍼灸、刮サ、灸、耳ツボ、中国伝統の健康体操の「八段錦」、太極拳、カンフーなどもできるという。「八段錦」は患者の身体を鍛えることができ、血流促進などにもよいため、慢性病の患者や重病患者のリハビリにもよいと指摘した。

 記事は、体力も精神力も求められる手術室、患者を支える力が必要とされる整形外科などに男性が配置されることが多く、同大学の看護学部の宋陽副学部長によると「細やかな心遣いができる女性に比べ、男性は体力面で確かに優位性がある」ほか、就職においても男性看護師は特に人気があり、同大学の卒業生は広東省中医院や広東省人民医院といった中国で最高クラスの病院に就職していると伝えた。労働者市場における大卒者の供給過剰などにより非常に厳しい就職難が問題となっている中国では極めて珍しい状況だといえる。

 時代の変化に伴い、女性の社会進出が進み、これまで男性中心だった職場にも女性が増えた。体力面などにおいて男女差が存在することは否めないが、不利な部分ばかりに注目するのではなく、逆に女性ならでは目線や細やかさを活かすということに最近は目が向けられるようになった。それと同様にこれまで女性の職場とされてきた看護師の世界に男性が飛び込み、八段錦、太極拳、カンフーなどを取り入れ男性としての強みを強化する考えは興味深い。また、日本の医療においても西洋医学一辺倒の考えから漢方薬を併用する病院が増えているように、伝統医療が日本でも再注目され始めている。仕事のあり方や医療の考え方が変化し、今後は西洋医学だけでなく中国医学などの知識、技能といった新しい「武芸」を身につけた男性看護師がより一層価値を持つようになるのかもしれない。(イメージ写真提供:123RF)