日本経営管理教育協会がみる中国 第585回 ――水野隆張

◆米中貿易戦争は一時的に暫定合意の動き

 米中貿易戦争が長期化するにつれて米中に暫定合意の動きが一時的に取り沙汰されている。

 それは米国で米国農産物に対する中国の報復関税による打撃が高まり米国農民の不満が深刻化していることや、トランプ大統領の人気が民主党のどの候補者よりも低くなる一方で、中国でも8月に開かれた北戴河会議で習近平指導部が香港問題に並び米中貿易摩擦が長老たちから厳しい批判を浴びたようである。

 そこでトランプ大統領は双方の溝が深い分野を棚上げする「暫定合意」の可能性に言及し、中国も米国産農産物の購入に動き出している。しかしながら、米中対決の根底には将来の覇権をかけた争いの側面もあるだけに、安易な歩み寄りには双方の強硬派の警戒感も強まっている。中国の妥協姿勢も建国70周年を穏便に迎えるための方便の可能性も窺われるところである。いずれにせよ米中貿易戦争の長期化は避けられないところであり、米中我慢比べは今後も続くであろうと言わざるを得ない。

◆国民性を表す豚小屋の小話

 日本・中国・韓国の三国の人の忍耐力をテストするため、ハエと蚊と豚クソだらけの豚小屋の中に同時に入らせた。最初に豚小屋から飛び出したのは、せっかちで清潔好きな日本人であり、次は性急な韓国人で、最後に残った中国人が出てくる番だった。ところが予想に反して出てきたのは豚だったのである。どんなに汚い環境でも辛抱する中国人には豚も敵わなかったという小話である。

 米国はたかだか建国以来200年の歴史である。これに対して中国は5000年もの長い歴史を辿ってきた。その間、動乱に次ぐ動乱にも耐え忍び遂には世界第二位の経済大国としてのし上がってきている。中国はこの米中貿易戦争を長期戦で乗り越える覚悟を定めているようにみえる。目先の大統領選挙と人権問題や世界共通の諸問題には関心がなく自国の国益損得のみを最終目的に行動するトランプ大統領とでは小話が示唆しているように勝敗は中国に有利に傾いているように思えるのである。

◆日本は米中との間でも外交力を発揮して変革を求める時に来ているのではないだろうか

 日本は北朝鮮やロシアからは米国の属国とみられており米国さえ説得すれば日本はそれに従属して行動すると思われているようである。安倍総理とトランプ大統領の親しい関係は日米同盟の強化という面では有利に働いているが、防衛面でも経済貿易面でもアメリカファーストを貫くトランプ政権には従がわざるを得ない関係にあることは明白である。

 だからと言って韓国のように中国にすり寄ることは民主国家としての日本には許されないことである。この際日本としても国益の面から日米同盟強化を基本として日本の国益に反することははっきりと主張する姿勢を堅持することを期待したいところである。中国に対しても難しいことではあるが中国共産党独裁体制の変革に香港・台湾の民主勢力とともに連帯を強化することを期待して止まないところである。(写真は、人民大会堂。提供:日本経営管理教育協会)