日本経営管理教育協会が見る中国 第580回 ―ー宮本邦夫

 ドトール・日レスホールディングの高級喫茶店「星乃珈琲店」は、すでにシンガポール、マレーシア、インドネシアに進出していたが、今般台湾に進出すると発表した。また「猿田彦珈琲店」も、香港に進出するという。高級感を売り物にする日本式喫茶店は、スターバックスに代表される安価で提供するコーヒー店に対して、どのような差別化を図っていくべきかを考えてみたい
 
◇コーヒー自体の奥深さを追求する
 日本においては、コーヒーは単なる飲み物ではなく、きわめて奥深い飲み物であると言える。茶道などと同じように「珈琲道」と称して珈琲の奥深さを追求する風潮は以前から見られ、店名に「珈琲道」を付けているコーヒー店も散見される。「珈琲道」を追求するところでは、コーヒーの産地の選別、焙煎の仕方、ブレンドの仕方などに工夫して、より美味しいコーヒーづくりを行い、他店との差別化を図ってきた。アジア諸国への進出に当たっても、このようにコーヒーの味にこだわる日本式喫茶店の伝統と現地の嗜好性を考慮した戦略・戦術を展開してほしいものである。
 
◇高級感あふれる店づくりを
 伝統的な日本式喫茶店は、コーヒー自体の奥深さを追求するだけではなく、店づくりにも、こだわりを示したと言ってよい。すなわち、ゆったりとした椅子に座り、4人ぐらいの少人数で談笑できるレイアウトが一般的であった。また、日本的喫茶店は、商談の場であり、ビジネスパーソンの打ち合わせの場でもあり、まさにビジネスに欠かせない施設であった。しかし、スターバックスなどの安価でコーヒーを提供するチェーン店が急増し、逆にこうした伝統的な日本式喫茶店は激減した。アジア進出に当たっては、コーヒーの味の追求と合わせて、高級感あふれる店づくりを目指してはどうであろうか?
 
◇日本的な「おもてなし」も売り物に
 たとえ、美味しいコーヒーをつくり、高級感あふれる店づくりをしたとしても、働く人たちの働き具合が良くないと、成功はおぼつかないだろう。お客からの注文の聞き方、飲み物の運び方、会計の仕方などの態度が悪く不快な目に合えば、お客は、その店に二度と行きたいとは思わないであろう。喫茶店は単なる飲食業ではなく、サービス業である。働く人のサービスの質が問われるのである。サービスの質を高めるには、何といっても日本的な「おもてなし」精神が欠かせない。現地で採用するスタッフに対しては、「おもてなし」精神に基づく接客法を徹底して教育することが必要である。(写真は、東京恵比寿にある猿田彦珈琲本店。提供:日本経営管理教育協会)