消費税増税が目前に迫る日本では増税後の景気減速を食い止めるため、消費縮小をいかに軽微とするかに様々な対策が取られようとしている。米中貿易摩擦長期化の影響等で景気が低迷する中国でも、成長率が鈍化してくる中で、個人消費をいかに浮揚させるかが経済復調の鍵となりそうだ。

 7月21日付の中国メディア中新経緯によると、国家統計局が発表した2019年上半期の全国1人当り可処分所得は15,294元(約23.9万円)で、前年同期に比べ8.8%増加、物価上昇分を除けば実質的に6.5%増加した。同期間のGDP成長率は6.3%だったので、1人当り可処分所得の伸びがGDPを0.2ポイント上回ったことになる。

 省別にみると、1人当り可処分所得の金額が最も多かった上海は35,294元(約55万円)で8.2%増、2番目に多かった北京は33,860元(約53万円)で8.9%増だった。一方で伸び率が最も大きかったのは西蔵で12.7%増、以下青海11.8%増、貴州10.7%増、安徽10.2%増と続く。農村住民の可処分所得の伸びが大きかったことを示しており、都市と農村とのあいだの格差は縮小に向かった。

 他方で2019年上半期1人当り消費支出は10,330元(約16万円)で、前年同期に比べ7.5%増加し、物価上昇分を除くと実質的に5.2%増加した。

 同記事は、1人当り可処分所得の上位7省(上海、北京、浙江、天津、江蘇、広東、福建)が消費支出の上位7省でもあったことから「会〓也会花(稼げるものが支出もできる)」としている。(〓は貝へんに兼、「儲ける」の意味)

 なお、国家統計局によれば、1年前の2018年上半期の1人当り可処分所得は前年同期比8.7%増(物価上昇分控除後6.6%増)、1人当り消費支出は前年同期比8.8%増(物価上昇分控除後6.7%増)だった。2019年上半期においては、1年前と比べて可処分所得の伸びには大差はないが、消費の落ち込みが顕著だったということができる。

 一般的には景気減速時には所得の伸びの落ち込みに対し消費の伸びの落ち込みは緩やかとなり景気を下支えするのだが、それと逆のことが起きているといえそうだ。将来の不景気を懸念して国民が消費を抑えているような行動にみえる。ちょうど、日本の「失われた20年」といわれるデフレ期に、個人消費がいっかな回復しなかったことの前哨戦のようだ。米国との軋轢を抱えて経済運営に苦しむ中国の状況が浮き彫りになった形だ。(イメージ写真提供:123RF)