日本経営管理教育協会が見る中国 第574回 ――下崎寛

 特定技能制度が2019年4月から運用が始まった。まだ、試行錯誤の段階であり、これから特定技能制度の外国人が増えてくるであろう。

 このことに関連して、古くて新しい問題としては、移民制度がある。

 日本においては、単純労働者の就労ビザは国是として建前上は禁止している。しかし、今回、少子高齢者の問題があり、単純労働者を条件付きで受け入れすることとなった。この制度は移民を認めたわけではないとの国の方針である。

 日本では、形式上は移民制度が認められていないが、実質的には移民制度は戦後から実施されている。それが、特別永住者制度である。

 戦前日本の領土となっていた朝鮮半島は連合軍により大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国として独立し、台湾は中華民国となった。そこで日本国としては講和条約発効(1952年4月)に伴い「平和条約の発効に伴う朝鮮人台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理ついて」とする通達が出され、一律に在留している朝鮮人・台湾人に対して日本国籍を喪失することした。それに伴い日本政府は、朝鮮人・台湾人に送還するべく手配を行ったが、GHQや韓国政府に受け入れられず、やむを得ずに戦後日本国籍を有していた朝鮮人・台湾人(戦前の旧戸籍もすべてではないが現存している。)に「協定永住許可書」(現在では在留許可「特別永住者」となっている。)を発行し、日本に在留を認めた。

 その当時、朝鮮人・台湾人は200万人以上居たといわれている。当時日本の人口は8500万人程度であり、人口比2%~3%居住していたこととなる。その後、人口増加と帰化、日本人との結婚(日本人と結婚すれば、子供は日本で出生した場合、日本国籍を取得できる)等でその比率は上がっていると推定される。世界の移民率は現在アメリカ13%、ドイツ、フランスは10%などとなっているが、日本においても、特別永住者及びその関係者もカウントすると、その水準は最低でも5%~6%となり、単純な移民ではないが、実質移民として存在していることとなる。なお、その朝鮮人・台湾人は、日本人として日本語を教育されており、スムーズに日本の社会に溶け込むことができたのは幸いである。

 また、古くは百済人が日本社会に来ている。百済は日本(当時倭国といわれていた。)と同盟関係が強く、高句麗や中国唐と戦争を行っていたが、663年朝鮮半島の白江村の戦いで百済と倭国の連合軍が中国唐軍に大敗し、百済は滅亡し、大勢の百済人が日本に亡命してきている。

 このように、日本としては、昔から移民を認めてきた時代がある。ただし、移民を認めてきたが、その移民に対して差別、偏見の問題があった。今回の特定技能制度により単純労働者を多数の受け入れすることとなるが、共存共栄ができるかが心配である。(写真は、大久保外国人街。提供:日本経営管理教育協会)