昨2018年に米国企業との取引が全面的に禁じられ、経営危機に陥った中国の通信機器大手のZTE(中興通訊)は、今月26~28日に開催されるアジア最大のモバイル通信関連展示会「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)上海2019」に出展し、5G関連のリーディングカンパニーとしての復調をアピールする。展示会では徐子陽・最高経営責任者(CEO)が講演し、最新の研究成果について発表する予定だ。

 MWC上海2019は、中国での5G端末発売に合わせて5G関連のネットワークや新技術が大きなテーマになっている。中でも、中国移動(チャイナ・モバイル)は、開催期間中に5Gを使った遠隔手術の生放送を会場内で予定しており、5G時代の幕開けとその発展の可能性を印象付ける。他にも、AI(人工知能)、フィンテック、ブロックチェーン、スマートシティなど次世代の産業基盤について一連のサミットが予定され、参加企業は550社、110の国と地域から約6万人が参加する予定だ。

 ZTEは今年2月に開催された大規模展示会「MWC2019」(スペイン・バルセロナ)において、最初の5Gフラッグシップ携帯電話ZTE Axon 10 Proを発表。この端末は、これまでに中国、ドイツ、アラブ首長国連邦、フィンランド、オーストリアで発売された。

 また、5G関連の商用化関連契約を既に25件契約し、世界の通信キャリア60社と提携関係を結んだことを公表している。提携先の通信キャリアは、チャイナ・モバイル、中国聯通(チャイナ・ユニコム)、中国電信(チャイナ・テレコム)といった国内3社に加え、フランスのオレンジ、スペインのテレフォニカ、イタリアのウィンド・トレ、オーストリアのH3A、インドネシアのテレコムセルなど、アジア、欧州、中東に及ぶ。

 オーストリアの通信事業者Hutchison DreiはZTEと協力し、6月22日に、オーストリアで最初の商用5Gネットワークの提供を開始したことを発表。6月25日にはインドネシアの国営テルコム・インドネシアとZTEが、5G通信システムの協業に関する覚書を締結したと発表している。

 5G関連の特許数は、世界トップの華為技術(ファーウェイ)の2160件、ノキアの1516件に次いで、ZTEが1424件でトップ3に入る。LG電子(1359件)やサムスン電子(1353件)といった韓国勢をおさえ、エリクソン(1058件)やクアルコム(921件)などの欧米メーカーを凌いでいる。

 ZTEは華為技術(ファーウェイ)に並ぶ通信機器大手の地位を堅持しているようだ。昨年は米国からイランと北朝鮮に対して不適切な輸出をしたと咎められ、14億ドル(約1570億円)の罰金を支払った上で、取締役等の幹部を処分した。そして、米国の輸出規制法を順守していることを監視する特別チームを10年間設置して監視を受けることを約束している。米国の圧力に早々と膝を屈した格好だが、その後の立ち直りもまた素早い。5Gは米中貿易摩擦の象徴的な敵対分野だが、アジアからヨーロッパへと張り出していく中国勢の勢いは止まりそうにない。(イメージ写真提供:123RF)