香港では「逃亡犯条例」の改正案を巡って週末ごとに大規模なデモが繰り返され、騒然とした雰囲気が覆っているが、そんな中で、香港から台湾への移民が増加しているという。今年1~4月に前年比40%増の約400人に達した。5月と6月の台湾移民説明会に参加した人は各300人と、4月に比べて倍増している。香港メディアが20日、外電報道を引用して伝えた。

 香港で100万人以上(主催者発表)が参加する返還後最大規模のデモが6月9日に勃発し、その後、10日以上経っても香港市民の動揺が収まらない。そこには、「中国化」に対する抜き差しならない警戒感があると感じられる。1国2制度といわれ、英国が統治していた当時の価値観を維持しているが、返還から50年後の2047年には否応なく中国と一体化することになる。タイムリミットが刻一刻と迫る中で、香港市民の「自由を奪われる」という不安が高まっているのだろう。「香港からの逃亡」も加速しつつある。

 香港から台湾への移民は、長期的に見ても増加傾向にある。台湾側のデータによると、14年の697人から18年には1267人に増加した。移民手続きをサポートする香港企業の関係者は、「2014年9月26日~12月15日にかけた雨傘運動の際に台湾移民ブームが起きた」と説明。17年3月に林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が就任した後、いったんブームは沈静化したものの、「逃亡犯条例」改正問題を受けて社会的な不安が高まる中、足元で再び急増する傾向にあるという。

 今年67歳のある香港人女性は、「逃亡犯条例」改正問題が「ラクダの背を折る最後の藁(わら)」になったと話す。北京当局が香港に対する支配を強める中、「香港市民の自由や権利が侵害される」と不安を募らせているようだ。30歳の男性は外電の取材に対し、「香港の情勢は悪くなるばかりだ」と述べ、来年にも妻と子どもを連れて台湾に移住する計画だと明かした。

 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正を巡っては、林鄭長官が18日に記者会見し、「来年7月の立法会(議会)会期終了時までに成立しなければ改正案は失効するが、政府としては受け入れる」と述べ、事実上の廃案となる見通しを示した。ただ、香港の学生団体は改正案の「撤回」を引き続き要求しており、20日夕方まで応じなければ21日に大規模な抗議活動を行うと予告している。(イメージ写真提供:123RF)